不良地山でのトンネル沈下量を60%に低減
2011年6月24日
西松建設(株)は、戸田建設(株)と共同で、山岳トンネルにおける不良地山の施工で問題となる支保工脚部沈下を、従来よりも安全で経済的に抑制できる新しい脚部補強工法「NT-Support」(NISHIMATSU-TODA Support)を開発しました。また、戸田建設(株)施工の北海道新幹線万太郎トンネル工事において試験施工を実施し、脚部補強のない場合に比べて初期沈下を40%に抑制し、最終沈下量も60%に抑制できることを確認しました。
(開発の狙い)
山岳トンネルの脚部補強工としては、支保工の支持面積を増加させて地盤に作用する荷重強度を低減させるウィングリブ方式やインナーリブ方式が採用されています。しかしながら、従来技術においては、トンネル脚部の左右の地山を拡幅するために施工の安全性や作業性が問題となるばかりでなく、補強支保工の準備(製作)に時間を要し、予期せぬ不良地山の遭遇には対応できないなど運用面も課題となっていました(図-1参照)。
そこで、従来技術の作業性・安全性や運用性を改善し、汎用性が高く、さらに経済的な脚部補強技術を開発したものです。
(特徴)
「NT-Support」は、トンネル軸方向に接地面積を確保した「脚部ベースプレート」と、鋼製支保工に取り付けた「ウィングプレート」で構成され、鋼製支保工の軸力を分散させて支保工の初期沈下を防止します。その際、必要に応じて、支保工下部を鉛直方向にジャッキアップして地山にプレロードを作用させる、あるいはウィングプレートと一体化したサイドパイル(ボルト)を打設して、沈下抑止効果を高めます(図-2、3、写真-1)。
当工法の特長を挙げると、以下の通りです。
①従来のウィングリブ方式やインナーリブ方式に比べて安全性(余掘りが不要)や作業性(接地が容易、掘削の邪魔にならない)が向上する。
②地表面沈下の最大の原因となる掘削初期段階の支保工沈下や地山の緩みによる変位を抑制でき、脚部補強技術としての実効性に優れる。
③脚部ベースプレートやウィングプレートなど鋼製支保工への取付治具を予め準備しておけば、予期せぬ不良地山の遭遇に対しても遅延無く沈下対策を実施できる。
④脚部ベースプレートによる接地圧の分散、プレロード、サイドパイルの複合技術のため、地山状況に応じた段階的な対応が可能である。
⑤1脚あたりの材料費は従来の脚部補強技術に比べて60~80%となり、脚部ベースプレート等、転用できる部材が多く、経済性に優れる。
(効果の検証)
北海道新幹線万太郎トンネル工事の連続した低強度シルト層の地山条件下で、「NT-Support」を試行し、その作業性や脚部沈下抑制効果を検証しました。
支保工設置作業のサイクルタイムは、上下半施工時とも、脚部補強のない場合とほぼ同程度であり、作業性に支障を与えないことが確認されました(写真-1参照)。
「NT-Support」によって、支保工脚部の初期沈下は40%に抑制され、最終沈下量も60%に抑制され、その効果が実証されました(図-4、図-5)。
今後、現場適用を増やしてデータを蓄積し、解析的な検証も進めて、当工法を活用していきたいと考えています。
【解説図、写真】

図-1 従来技術の概要
![]() |
![]() |
図-2「NT-Support」の概念図 |
写真-1「NT-Support」の設置状況 |
図-3「NT-Support」の詳細図
図-4 「NT-Support」の初期沈下速度の抑制効果
図-5 「NT-Support」の坑内沈下量の抑制効果







