~横浜国立大学開発の表面吸水試験方法にて~
2012年1月16日
西松建設(株)は建設中の実構造物に自社の「うるおい」養生等を用いて、コンクリート表層品質の向上効果を定量的に評価できることを実証しました。評価方法は横浜国立大学・細田暁准教授らが開発した表面吸水試験方法を用いました。本試験方法は写真1に示す表面吸水試験機を用いて、かぶりコンクリートの吸水量および吸水速度の時間変化を測定することで、コンクリート表層の緻密性を評価しようというものです。吸水速度の値が小さいほど表層コンクリートが緻密であることを意味します。
西松建設(株)は今回の養生方法を技術提案等に積極的に活用するとともに、本試験方法を今後の工法開発や現場での施工管理に役立てていく考えです。なお、本研究は構造物の長寿命化の観点から、西松建設(株)と横浜国立大学が共同で取り組んでいるものです。
|
|
![]() |
写真1 表面吸水試験機 (鉛直壁面に2つの吸水カップを設置した状況) |
写真2 調査状況 |
■表面吸水試験機
試験機は吸水カップ(外径100mm,厚さ30mm)と固定装置で構成され、吸水カップはコンクリートに接して水を吸水させる部分と、水頭を作用させつつ吸水量の変化を読み取るシリンダー部(内径8mm,高さ300mm)で構成されています。固定装置は小型真空ポンプを利用してコンクリート壁面に圧着させる方法としています。本試験方法は、検査面をアンカーや接着剤等で傷つけることなく完全非破壊で実施できることから、新設の構造物にも安心して適用することができます。
■表面吸水試験方法
試験方法は固定装置を圧着後、空の吸水カップをコンクリート面に固定ネジで密着させ、速やかに水頭300mmまで注水を行ない、1分毎の水位低下量をシリンダー目盛から読み取る極めて簡便なものです。自動計測・記録のシステムもすでに開発を終了しています。本試験装置では注水治具を工夫することで、注水は5秒程度で完了できます。また、使用する水はコンクリート面の微細孔への目詰まりを防止するため、不純物が混入していない水道水を用います。
■実証試験結果
実証を行った構造物は建設中の下水道施設(沈殿池)です。標準配合として高炉セメントB種が用いられていますが、水密性が要求される監査廊周辺の壁部材には、温度応力ひび割れ対策として低熱セメントが用いられています。今回、セメント種が異なる壁の表層品質を、表面吸水試験方法を用いて自主調査したところ、両者の設計基準強度は同じですが、吸水速度は低熱セメントを用いた壁が高炉セメントを用いた壁の最大約1/2に減少しており、コンクリートの表層品質が向上(緻密化)していることがわかりました。つまり、温度応力ひび割れ対策を行なった壁部材は、ひび割れ抑制効果だけでなく、コンクリートの表層品質自体も向上していることが示されました。また、高炉セメントを用いた壁において、ひび割れが抑制された壁においては表層品質が良好であることも示され、興味深い相関が確認されました。
標準配合の鉛直壁面で、型枠の脱型後に自社の「うるおい」パネル等で4週間の追加養生を行なった場合は、追加養生しなかった壁に比べて吸水速度が1/3~1/5まで大幅に減少し、表層品質が明らかに向上していることが実証できました。また、「うるおい」養生を行なった壁の吸水速度は、比較のために行った市販の塗布型養生剤使用のそれよりも小さくなり、「うるおい」養生はコンクリート表層品質の向上度合いが高い工法であることが実証できました。
なお、型枠の脱型時期をコンクリート打設後1週間~4週間とした場合の吸水速度は、脱型後に雨水等の影響を受ける今回の施工条件の範囲内では、2週間が一番小さくなる等の効果が把握できました。したがって、本試験方法は新設構造物におけるコンクリート品質向上対策の効果などを、表層品質という側面から見える化できる手法と考えられます。







