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2014年07月24日
トンネル覆工コンクリート品質向上への取組み

 西松建設(株)は、横浜国立大学(細田暁 准教授)と共同で、山岳トンネルの覆工コンクリートの品質向上を目指し、復興道路の岩手県宮古市田老地区の国道45号田老第6トンネル(写真-1)において、トンネルでは初めてとなる施工管理手法「目視評価法」を適用しました。目視評価法は、従来、橋梁構造物等で用いられていた手法です。今回トンネル構造物に応用するにあたり、その効果を非破壊試験法の一つである「表面吸水試験法(以下、SWAT)」で検証しました(写真-2)。


■ 背景
 国土交通省東北地方整備局では、復興道路関連のコンクリート構造物が短期間で多数施工されることから、コンクリート構造物の品質確保対策の一環として、表層品質に着目した新たなマネジメント手法を試行しています。具体的には、環境条件の厳しい橋梁の下部工を対象に、発注者が行う「施工状況把握チェックシート」によるコンクリート打込み時の基本事項のチェック、および「目視評価シート」によるコンクリート表層の出来栄えのチェックを行い、現場施工段階で改善できる事項は、次ステップの施工で直ちに反映することが期待されています。
 今回、西松建設では、田老第6トンネルの覆工コンクリートがトンネル長期保証の試行工事にあたること、ならびに三陸沿岸道路の新規事業化区間のトンネル工事の中で一番早い竣工を迎えることから、覆工コンクリートの表層品質に着目し、細田准教授と共同で、コンクリート打込み時の基本事項のチェック、および目視評価法をトンネルに応用した施工管理に取り組みました。また、その効果をSWATで検証するため、既にある一般壁用(写真-3)に加えて、トンネル覆工コンクリートの特徴である内空の曲面や天端面でも測定可能な治具を初めて導入しました(写真-4、5)。


■ 概要
 目視評価シートでチェックする項目は、覆工コンクリートの特徴を踏まえ、①剥離、②気泡、③水はしり・砂すじ、④色むら・打重ね線、⑤施工目地不良、⑥検査窓枠段差としました(表-1)。また、先行実績がある橋梁構造物の目視評価シートとの整合性を図るため、評価点は4段階とし、各々の中間点での評価も可としました。なお、評価は観測部位を1ブロック(10.5m)毎にトンネルSL下、側壁、天端に大きく区分して行いました。
 評価は西松建設の現場技術者が自ら行い、その結果をその場で協力業者と共有、改善策を次ブロックの施工へと反映する作業を繰返しました。また、個人差を少なくするため、全ブロックを同一人が評価するものとしました。その結果、項目⑤,⑥などは、念入りな施工管理により評価点は初期段階から高く、項目②,④などは、改善策の効果により評価点は施工進捗と共に上昇する傾向が認められ、いずれも目視評価法の妥当性を示したものと考えられました。目視評価シートでコンクリートの出来栄えを定量的に協力業者と情報共有しつつ、改善方法をお互いに議論することで(写真-6)、現場でのコミュニケーションを活性化させるツールとしても活用できることがわかりました。また、SWATによる検証では、覆工コンクリートの緻密性を10分時点の吸水速度で評価すると、目視評価点が上昇した部位は吸水速度が減少している、すなわち表層品質が向上しているものと認められました(図-1)。
 本現場では、目視評価法の導入の他にも、覆工コンクリートの品質向上対策として、型枠残置1週間やトンネルバルーン(写真-7、8)などの追加養生対策も行い、これらが表層品質の向上に寄与したと考えています。さらに、SWATによる検証では、側壁よりも天端の吸水速度が小さく表層品質が高いことが示され、覆工コンクリートの高品質打設工法(マイスタークリート工法)が寄与したものと考えられます(図-2)。


■ 今後の展開
 トンネル長期保証の本試行工事では、「完成から概ね5年後において、覆工コンクリートに幅0.3mmを超える乾燥収縮ひび割れが無いこと」とされています。今回、施工時にコンクリート施工の基本事項のチェックと目視評価のPDCAを実施し、その効果をSWATで検証できたことは、今後のトンネル長期保証における貴重なデータになると考えられます。今後、西松建設はトンネル覆工コンクリートの施工管理に目視評価法を採り入れ、覆工コンクリートの長期保証ならびに品質向上に役立てていく計画です。

 

表-1 目視評価点

図-1 目視評価点と吸水速度(SL部)の関係

図-2 トンネル部位の吸水速度の違い