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2014年06月14日
ジオポリマーによる焼却飛灰中のセシウム安定化メカニズムを確認 ~大型放射光施設SPring-8での分析で明らかに~

 西松建設(株)は、京都大学大学院 高岡昌輝教授らの研究グループと共同で、放射性セシウムを含んだ焼却飛灰をジオポリマー技術により所定条件の下で固めることで、セシウムイオンが化学的に安定した形態を成し、溶出しにくくなるメカニズムを大型放射光施設SPring-8での実験等により確認しました。


■ 背景
 放射性セシウムに汚染された廃棄物の安全な処理技術の開発は喫緊の課題です。特に、可燃ごみの熱処理により発生するごみ焼却飛灰中のセシウムは水に極めて溶出しやすいことが知られており、不溶化技術が求められています。
 西松建設と高岡教授らの研究グループは、セメント固化よりも不溶化可能な技術としてジオポリマーに注目し、その不溶化メカニズムの解明を目指して、養生温度や経過時間がセシウムの不溶化に与える影響を大型放射光施設SPring-8(兵庫県播磨科学公園都市)などにおいて確認しました。なお、ジオポリマーとは、フライアッシュなどの産業副産物とアルカリシリカ溶液との反応で形成された非晶質の縮重合体(ポリマー)であり、セメントを使用しない次世代のコンクリート技術としても期待される材料です。


■ 概要
 実験では、塩化セシウム(CsCl)1wt%を添加した都市ごみ焼却飛灰を用いてジオポリマーを作製し、大型放射光施設SPring-8のビームラインBL01B1において、養生温度を変えながらX線吸収端微細構造(XANES)分析を行い、ジオポリマーの硬化進行による化学状態の経時変化を調べました(写真-1)。実験の結果、室温環境下ではCs-K吸収端スペクトル(図-1左)の変化は見られませんでしたが、養生温度105℃で経過時間4時間50分(290分)以降では、練混ぜ直後の時間帯と比較して明らかなスペクトルの変化(図-1右)を確認でき、セシウム周りの構造変化が生じました。化学形態は、塩化セシウム(CsCl)が、セシウムを含むケイ酸塩鉱物の一つであるポルサイト(ポルックス石:CsAlSi2O6)へと変化し、安定化合物が生成されていることを確認しました。
 次に、ジオポリマーからのセシウム溶出特性を溶出試験で評価し、養生温度と経過時間がセシウムの不溶化性能に与える影響を確認しました。その結果、養生温度が高温ほど、早期に溶出率の低下が起こり、時間経過とともに溶出率は緩やかに低下しました(図-2)。本結果と前述のXANES分析で得られたスペクトルとを比較すると、溶出率の変化とセシウムのスペクトル変化に関係性が認められ、セシウムの化学状態変化つまりポルサイト状の化合物生成が不溶化の主因であると考えられました。
 以上より、セシウムを含む焼却飛灰をジオポリマーに混合し、ある一定の温度条件を保つことで、セシウムがポルサイト状の安定化合物に変化し、水に極めて溶け出しにくい性質を有することが判明しました。


■ 今後の展開
 本研究は、セシウムを含んだ焼却飛灰の安全な保管・処分技術の開発を目的に進めてきたものです。今後も、さらに効率良く安定固化処理できる製造条件の確立に向けて研究を継続する予定です。

写真-1 Spring-8での実験セル

図-1 各養生温度におけるCs-K吸収端スペクトルの経時変化

図-2 ジオポリマーのセシウム溶出率の経時変化