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2014年10月10日
自然由来砒素等を含有するシールド掘削土の浄化処理技術を開発

 西松建設(株)は、金沢大学(理工研究域、長谷川 浩教授)と共同で、シールド工事で発生する自然由来砒素等の重金属を含む掘削土の浄化処理技術を開発しました。本技術は、特殊薬剤のみ使用し、設備としては一般的なものとして、泥水式シールド工事の泥水処理プラントに組込み可能な砒素等重金属の抽出除去処理を提供するものです。
 今回、実際の自然由来の砒素で汚染された土壌を用いて、特殊薬剤によりその処理土が土壌環境基準以下にまで低減できることを研究室での実験により確認し、浄化処理に関する基礎技術を確立しました。今後、実機の泥水処理プラントを用いた実証実験によって浄化効果を確認し、本番へ向けた開発を進める計画です。


■ 背景
 土壌汚染対策法の改正により、汚染原因が自然由来であっても法の規制対象となったことから、最近のシールド工事においても、砒素等の重金属による汚染土壌を問題視する場合が増えています。また、大断面・長距離のシールド工事でこのような汚染土壌に遭遇した場合は、膨大な発生量が予測されます。既に管理型処分場等の受け入れ側施設は逼迫しており、また、多額の処分費がかかること等から、現場内で浄化する処理技術の要望が高まりつつあります。
 そこで、西松建設と金沢大学は、探求の末、シールド掘削土に含まれる砒素等の重金属を土壌環境基準に適合するまで簡易的に抽出除去できる特殊薬剤を見出しました。この薬剤を、既往の泥水式シールド工事の泥水処理プラントを大きく改修することなく使用する方法で、砒素等の抽出処理が出来るものと考えられました。


■ 概要
 本技術は、既往の泥水式シールド工事の泥水処理プラントにおける泥水処分法である湿式分級をベースに、砒素等を抽出する特殊薬剤を利用し浄化するものです。また、泥土圧式シールド工法を想定する場合は、排出土に加水・解泥することによって、適用可能と考えています。
 以下に、処理フローの概念図(図1)と技術の特徴を示します。

図1 処理フローの概念図

 

<技術の特徴>
・特殊薬剤の使用により、従来の分級洗浄法では汚染土として処分していた細粒分(シルト・粘土)までも土壌環境基準以下まで浄化(中間処理施設でリサイクル可能)
・既往の泥水処理プラントに組込み可能であり、一般的な設備だけで構築可能
・シールドの掘進速度に合わせた浄化処理が可能


 泥水中に含まれる自然由来砒素等の重金属は、一次処理(分級洗浄)により、粗粒分(礫・砂)と重金属が吸着した細粒分(シルト・粘土)に分離され、前者は一次処理土(健全土)として排出され、後者は二次処理に回されます。
 二次処理では、今回、見出した特殊薬剤により、細粒分に吸着した重金属が抽出・除去され、その結果、最終的に排出される脱水ケーキは土壌環境基準に適合します。また、一次処理土が土壌環境基準に適合できない場合は、一次処理前に特殊薬剤を添加することで、土壌環境基準に適合させ健全土として回収できます。なお特殊薬剤は、人体への有害性が小さく安全性の高い物質からなるものです。


■ 今後の展開
 冒頭で述べたとおり、実際の自然由来汚染土壌に対する特殊薬剤の適用試験は実験室規模で行っておりますが、さらに実大規模での実証として、当社愛川技術研究所(技術研究所 愛川オフィス)敷地内に設けた泥水処理プラントを用いた試験を今年中に実施する予定です。その結果を踏まえ、今後の大断面・長距離のシールド工事に本技術の採用を積極的に提案していきます。