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2015年03月03日
切羽前方の重金属類調査技術の適用性を室内試験で検証

 当社は、山岳トンネル構築において、地質探査と同時に重金属類溶出量の基準適否を評価する調査技術「ノンコアボーリングを用いた切羽前方の重金属類調査技術」(以下、本技術)の詳細な検証を行いました。そこで、信頼性の高い結果が得られたことをふまえ、ノンコアボーリングで得られる試料(以下、くり粉※)でも重金属類の調査および評価が可能であることを確認しました。

■背景
 山岳トンネルにおいて地山に重金属類の環境リスクがある場合は、掘削ずりを分析し、基準適否を判定した上で仕分けを行い、再利用先または処分先に搬出する手順とするため、分析期間中の仮置場が必要となります。ここで、用地が狭隘な現場では掘削ズリの仮置場が十分に確保できない場合もあります。このような場合には切羽から前方の試料を採取し、地山掘削前に重金属類のリスクを評価する方法が用いられています。同方法において本技術は、ノンコアボーリングで得られるくり粉(写真1)を効率よく回収して試料とし、コアボーリングで得られるコアを試料とする場合に比べて、坑内調査のための施工中断の時間を短縮でき、迅速かつ低コストで重金属類溶出量の基準適否を評価する技術です(図1)。
 本技術を現場に適用するにあたり、くり粉を用いた分析および評価が、高い信頼性を有していることを検証する室内試験を行い、その適用性を確認しました。

■概要
 掘削ずり等の岩石試料からくり粉を模擬した湿潤試料(以下、模擬くり粉)を作製し、元の岩石試料と分析比較を行い、相関性を確認する流れとする、室内試験による検証方法(図2)を考案し、実施しました。
 ヒ素の溶出量基準超過が懸念される岩石試料を用いて本試験を行った結果、模擬くり粉と岩石試料のヒ素溶出量に高い相関性を確認しました(図3)。このことからノンコアボーリングで切羽前方の重金属類調査が有効であることが確認できたと判断しています。
 本工法は、西松建設の前方探査技術であるDRISS®と併用できるため、前方地山の力学特性とあわせて重金属リスクの管理が可能であること、コアボーリングによる調査に比べ時間短縮と費用削減に寄与することから、今後の山岳トンネル工事において活用できる技術と考えます。

■今後の展開
 今後、本技術を実現場での切羽前方の重金属類調査に適用し、評価の精度向上および更なる迅速化・合理化を図ります。

※くり粉:ノンコアボーリングで得られる砕かれた地山試料を意味する。削孔水と共に孔口より排出される。

写真1 くり粉(湿潤試料)

図1 ノンコアボーリングによる試料採取のイメージ図

図2 室内試験による検証方法のフロー

図3 岩石試料と模擬くり粉のヒ素溶出量の相関図