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2015年06月15日
自然由来の砒素を含むシールド泥水の浄化技術を実証 ~通常の泥水処理に特殊薬剤洗浄を組合せた、砒素など自然由来重金属等の抽出除去技術~

 当社は、金沢大学(理工研究域、長谷川浩 教授)と共同で、2014年10月に開発した泥水式シールド工事で発生する砒素など自然由来重金属等を含むシールド泥水の浄化技術を実証しました。本技術は、泥水式シールド工法の通常の泥水処理に特殊薬剤洗浄を組合せ、泥水中の砒素等の抽出除去を可能にするものです。これにより、砒素等を含む泥水を現場で浄化することができ、二次処理土(脱水ケーキ)の処分費の削減、有効活用ができると考えています。

■背景
 土壌汚染対策法の改正により、自然由来の汚染土壌についても法の規制対象となったことから、最近のシールド工事においても、看過できない砒素等の自然由来汚染土壌に遭遇する機会が増えています。また、大断面・長距離のシールド工事で汚染土壌に遭遇した場合は、膨大な発生量が予測され、管理型処分場等の受け入れ側施設の逼迫や、多額の処分費がかかること等から、現場内で浄化して有効活用する方法が求められています。

■概要
 泥水式シールド工法の通常の泥水処理では、一次処理(振動ふるい・サイクロン等を用いた分級)により、礫・砂の粗粒分とシルト・粘土の細粒分に分離され、前者は一次処理土として排出し、後者(余剰泥水)が二次処理(凝集・脱水処理)に回されます。重金属等は、主として細粒分に吸着する性質があることから、重金属等に汚染された二次処理土(脱水ケーキ)が発生することになります。
 本技術は、砒素等に汚染された余剰泥水に特殊薬剤を撹拌混合し、細粒分に吸着している砒素等を水中に抽出除去するといった特殊薬剤洗浄により、二次処理土からの砒素溶出量を環境基準以下に浄化するものです。
<本技術の特長>
①使用する特殊薬剤は、生分解性のキレート剤で、人体や生態系への有害性が認められません。
②通常の泥水処理プラントに組込み可能であり、独立した特殊な装置が不要です。
③通常の泥水処理プラント設計計画で仕様計画することができ、シールドの掘進速度に合わせた浄化処理が可能です。

 今回、自然由来の砒素で汚染された上総層群の泥岩(土丹)または有楽町層の粘性土で作泥した模擬泥水を用いて、実際の泥水処理プラントによる実証実験を行い、本技術を実証しました(図1、写真1)。
 模擬泥水の砒素濃度はどちらも0.021mg/L(環境基準の2倍程度)となり、本技術を用いて処理した結果、いずれの場合も、二次処理土(脱水ケーキ)の砒素溶出量が不検出(0.001mg/L未満)まで浄化できることを確認しました。

図1 泥水処理に特殊薬剤洗浄を組合せた処理フロー(実証実験)

写真1 実証実験の状況

 

■今後の展開
 今回の実証実験では砒素を対象としましたが、本技術は、原理的に自然由来の重金属等として遭遇する機会の多い鉛やふっ素、ほう素、セレンなどにも適用可能なものと考えております。当社では、今後、その知見を深めていくとともに、自然由来の砒素等の汚染に遭遇し、その処理を必要とする泥水式シールド工事に対して本技術を提案していきたいと考えます。