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2016年07月26日
大深度での非開削地中拡幅工事を可能とする「3C先行覆工地中拡幅工法」を開発 -切削セグメントを用いた安全性の高い、長期耐久性を有する地中拡幅工法-

 当社は、道路トンネルの分合流部などを構築する「3C先行覆工地中拡幅工法(Cut and Connect in a Circle)」を開発しました。本工法は、東京外かく環状道路等の地下40m以上の大深度で、トンネル分岐合流等の大断面地中拡幅部を非開削で構築する技術です。この地中拡幅を安全安心に施工するためには、地山を露出させないことが課題となります。西松建設はこの課題に対して、縦断方向の小口径シールドトンネル同士を重複連結して、施工時に地山を露出させずに直径約40mの大断面外殻先行覆工を構築する技術を開発しました。この外殻先行覆工により地下大空間を形成することで、地下水位の高い未固結の一般土砂においても、大深度で安全・確実に大断面拡幅工事を行うことができます(図-1参照)。今回、本工法の最も重要な要素技術である、セグメントの切削性・小口径シールドラップ施工時の精度コントロールの実証のため、本年8月に1/2スケールの大型実験を行います。

 従来工法ではシールドトンネル同士を重複して連結施工することができませんでしたが、今回は、トンネルを重ねる形で構築します。これを可能とした技術が「切削セグメント」です。切削セグメントは、セグメントの素材をシールド機のカッタービットで直接切削できる材料とした特殊なコンクリートセグメントです。鉄筋の代わりにガラス繊維ロッド、骨材には軽量骨材、ひび割れ防止にアラミドファイバーを使用します。2011年から切削セグメントの開発を行い、既に実施した構造実験、切削性能実験により、シールド同士のラップ施工が確実に実施できる見込みが立っています。また、これらノウハウを基に、現在は実際に切削セグメントを使用する横浜湘南道路トンネル工事に着手しています。
 これら既存の実験と工事の技術から、シールドトンネルの重複連結施工は実現可能と考えますが、既有技術を総合して新たな実験を行い、施工の確実性を確認し、より信頼性の高い地中拡幅技術とすることを目的に、本年8月に実施工を模擬した大型実験を実施致します。


 


■ 背景
 東京外かく環状道路の地中拡幅部は、市街化された地域で、地下水位の高い大深度地下部に大規模な非開削による切り拡げを行なう、世界でも類を見ない難易度の高い工事です。各地中拡幅部には固有の条件がありますが、地山の透水性が高く、地山の自立性が低い地盤では、より安全・確実性の高い工法が求められています。また、完成構造物は長期耐久性に優れることが求められています。さらに、施工時のトラブル等による工事遅延リスクがないことはもちろんのこと、工期短縮が求められています。
 このような背景から、地中拡幅部の縦断方向に小口径先行シールド(切削セグメント)を小口径後行シールド(鋼製セグメント)がラップ施工し、地中拡幅部の外殻覆工を先行構築した後に、内部掘削することで地中拡幅部を構築する「3C先行覆工地中拡幅工法」を開発しました(図-1参照)。

■ 工法概要
 3C先行覆工地中拡幅工法は、以下の手順で構築します(図-3参照)。
① 小口径先行シールド(切削セグメント)掘進後、内部にRCにより外殻先行覆工の一部(先行エレメント)を構築し、流動化処理土で充填します。
② 小口径後行シールド(鋼製セグメント)が、先行シールドをラップして掘進し、凍結工法により周囲を止水(図-4)した後に、小規模の切り拡げを行います。次に、内部にRCにより先行覆工の一部(後行エレメント)を構築し、先行エレメントと接続することで外殻先行覆工を構築します。
③ 円形の外殻先行覆工を構築後、褄壁等を構築し、止水された中で、内部の地山を掘削し、大規模な地中拡幅部を構築します。

  


 

■ 工法の主な要素技術とその特長
 3C先行覆工地中拡幅工法の主な要素技術と、その特長は以下のとおりです。
【要素技術】
①完成時の高水圧下の完全止水を実現する外殻先行覆工背面の多重止水工法
②切削セグメントを用いた地山を露出させないシールドラップ工法
③シールドラップ施工、シールド発進坑口エントランス止水工法
④施工時の高水圧下の合理的な止水を実現する、内面貼付凍結管によるブロック限定凍結工法
⑤シールドラップ部の安全・確実な接続工法
●安定した構造
 ・外殻先行覆工は外圧に強い力学的に有利な円形です。
●優れた長期耐久性(要素技術①)
 ・防水は、多重の止水システムにより構成され、0.8MPa以上の耐水圧試験で漏水することがないことを確認しました。このため、鋼材等の材料劣化がありません。また、併せて地下水位の低下がありませんので、周辺環境にやさしい工法と言えます。
●安全性を確保した施工方法(要素技術②~⑤)
 ・地山を露出することなく外殻先行覆工を施工できますので、高水圧で自立性の低い地盤でも安全に施工できます。
 ・内部掘削は、外圧に強い堅固な円形の外殻先行覆工を構築した後に行うので、高水圧下でも安全に施工できます。
●確実な施工方法(要素技術②)
 ・切削セグメントは、施工時荷重に対して十分な耐力、靭性を有すること、小さな切削負荷(低トルク、低推力)で通常のシールド掘進速度30mm/分程度が確保できることを、2012年の構造実験、2013年の架台上のシールド機による切削性能実験により確認しています(写真-1)。本年8月に、実施工を模擬した大型土槽内シールド掘進実験を実施することにより、さらなる施工の確実性・信頼性を検証します。


 
 

■ 今後の展開
 今回開発した「3C先行覆工地中拡幅工法」は、さらなるブラッシュアップを行い、東京外かく環状道路等の地下拡幅工事への適用に向けて提案したいと考えています。