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2016年11月01日
“安価で長持ち”“設置が容易”な橋梁遠隔モニタリングシステム 「インフラモニタリングシステム」の開発・実証実験に着手 -道路管理者の維持管理に伴う負担を軽減し、安全・安心を見える化-

当社と、大日本コンサルタント株式会社(社長:新井伸博)らから成るコンソシアムは、佐賀大学・伊藤幸広教授、長崎大学・松田浩教授らの指導、また福岡県久留米市(市長:楢原利則)の協力を頂き、“安価で長持ち”“設置が容易”をコンセプトにした橋梁遠隔モニタリングシステム「インフラモニタリングシステム」のプロトタイプを開発し、供用中の道路橋梁「長門石橋」(管理者:久留米市,築42年)にて実証実験を開始しました。
画像と振動等の物理量を同時に検知することができる本モニタリングシステムを設置することで、供用中の橋梁の安全性(状態変化・異常の発生)について見える化し、誰もが簡便に橋梁の経過状態を観察・評価することができます。また、地震や台風といった災害による非常時にもカメラ装置を遠隔操作し、現場の状況をリアルタイムに目視確認することができます。これにより、橋梁管理者の維持管理に伴う負担を軽減するとともに、補修・更新業務の安全性向上が期待されます。

 

■ 背景
国土交通省発表の道路メンテナンス年報(平成27年11月)によれば、道路橋梁は全国に約72万橋あり、そのなかでもとりわけ財政状況が厳しい地方公共団体が管理する橋梁は約66万橋におよびます。また、建設後50年を経過した橋梁の割合は、平成27年現在では約18%ですが、10年後には約42%に達します。これを受け、平成25年の道路法改正により、道路管理者は5年に1度、全ての橋梁を対象に近接目視で点検を行い、表1に示すように、健全性をⅠ~Ⅳの4段階で診断・評価することが義務付けられ、現在、計画的かつ迅速に管理橋梁全体の点検が進められています。その結果、本格的な近接目視点検が初めてとなる橋梁を中心に、点検が進むにつれ、機能に何らかの支障が生じていると認められる健全度Ⅲ、あるいはⅣと診断・認定される橋梁が多数におよぶ懸念があります。
このような背景から、西松建設(株)、大日本コンサルタント(株)らはコンソシアムを立ち上げ、佐賀大学、長崎大学、さらに久留米市に協力を仰ぎ、産学官連携・業種横断的な協働体制の下、既に供用・管理されている膨大な橋梁の状態に関する診断、評価、さらには劣化の検知や予測に関する技術基盤の構築、将来的な橋梁の効率的な維持管理への貢献を目指し、「インフラモニタリングシステム」の開発および実証実験に取り組みました。


■ 概要
インフラモニタリングシステムは、図1、表2に示すように、「①センサユニット」、「②カメラ装置」、「③コンセントレータ」、「④クラウドサーバ」、「⑤見える化アプリ」で構成するものです。このうち、昨年度開発した「①センサユニット」および「②カメラ装置」のプロトタイプを久留米市が管理する長門石城南A1号線・長門石橋(久留米市長門石一丁目番地先)に昨年末に設置し、実証実験を開始しました。なお、モニタリングの対象範囲は、長門石橋の右岸側から2径間目の中央から右岸側として(図2参照)、P4橋脚近傍およびP3~P4橋脚支間中央近傍の上/下流側に各々No.1、No.2センサユニット(計4基)を配置しました(図3参照)。実証実験の目的は、実環境下におけるデバイスの動作安定性や耐久性の試験を実施しシステムの有効性を示すとともに、計測データの「⑤見える化アプリ」開発・改善に役立てることにあります。

インフラモニタリングシステムの具体的な開発コンセプトは以下の通りです。
●無線による遠隔操作・データ取得が可能なシステム
・橋梁管理者、あるいはシステム管理者のPCにより、センサユニットおよびカメラ装置のon/off、クラウドサーバへのデータ転送、トリガーモードの選定やカメラ装置の画角・ズーム調整等、インターネット回線を経由して遠隔操作が可能となります。
・同様に、見える化アプリにより、PC等から簡便に橋梁の状態を計測データと画像データから確認でき、リアルタイムで監視することができます。
・供用電源が喪失するような非常時においても、無停電電源装置により数分間稼動の可能なシステムです。
●安価なシステム
・定期点検結果を基に、橋梁の機能に何らかの支障が生じていると認められた箇所を限定し、効率的なモニタリングを実施します。
・本システムの標準セット費用の目安として、設置費も含め300万円~ /セット程度に設定し、ユーザーの要望に応じてオプション対応していくビジネスモデルを検討中です。
●設置の容易なシステム
・定期点検の機会を活用し、点検作業との並行作業でセンサユニット等の設置が可能となるよう、設置の容易な一体型センサユニットの開発、橋梁への取り付け方法等の改善に取り組みます。
●耐久性に優れたシステム
・定期点検によって健全性に問題ありとの判定後、補修・更新までに要する期間は一定ではありません。そこで、次の定期点検が実施されるまでの少なくとも5年間、厳しい実環境下での耐久性(動作安定性)を有する、設置方法を含めたモニタリングシステムの確立を目指しています。
・今後、少なくとも5年間、長門石橋にて実証実験を継続し、システムの耐久性を検証していく計画です。


■ 今後の展開
各センサの仕様の検討、見える化アプリの操作性等の改善を進めるとともに、九州地方をはじめ、多くの自治体、橋梁の管理者の皆様に当該システムを広く公表・発信し、普及・活用を図り、橋梁の効率的な維持管理に貢献していきたいと考えています。