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2017年06月06日
山岳トンネル掘削時の削孔データを用いた3次元地山評価システム「DRISS-3D」を開発 -ドリルジャンボの施工データを用いて切羽周辺の地山強度を連続的に3次元評価-

当社は、ジオマシンエンジニアリング株式会社(東京都荒川区 社長:塚田純一)と共同で、山岳トンネル施工の一層の効率化と安全性の向上を目的に、山岳トンネルの掘削に使用されるドリルジャンボの施工データ(発破孔・ロックボルト孔の削孔データ)を使用して、切羽およびその近傍の地山性状を定量的かつ詳細に3次元評価可能な地山評価システム「DRISS-3D」を開発しました。

■ 背景
山岳トンネルの掘削時において、切羽周辺やその前方の地山性状を定量的に把握することは、安全かつ経済的な施工する上で非常に重要です。一般的には、ドリルジャンボの削孔データを用い、切羽前方探査法(削孔検層)により地山性状を把握していますが、この方法では切羽前方に向けた数本の長尺削孔データのみを用いているため切羽前方30~50m区間の概略的な性状把握に限られ、切羽およびその近傍の地山性状を詳細に把握できるものではありませんでした。
そこで、コンピュータ制御のドリルジャンボの普及によって得られる多数の装薬孔・ロックボルト孔等の削孔位置や角度情報のデータを処理・解析して、切羽近傍の地山性状を定量的に3次元評価可能な地山評価システム「DRISS-3D」を開発しました。

■ 概 要
本システムは,坑内においてドリルジャンボのすべての削孔データを計測する『計測システム』と、計測されたデータを専用ソフトで処理する『解析・評価システム』で構成されています(図-1参照)。
本システムは、以下の手順で切傍の地山性状を定量的に3次元評価します。
①計測データから実削孔データのみを抽出・分離し、各削孔毎に穿孔エネルギー※1や地山強度等の地山評価指標を算出。
②その結果をボーリングデータとして3次元表示(図-2参照)。
③ソフトに実装された空間データ補間機能(逆距離加重平均法、クリグギング法)を用いて、地山評価指標の3次元分布図を出力。(図-3参照)

本システムから得られる結果出力は、任意断面における2次元表示も可能であり、地質縦断図や平面図、切羽観察記録(切羽写真)との比較も容易です(図-4、図-5参照)。また、様々な条件下で実施する削孔データ(装薬孔、ロックボルト孔、AGF鋼管打設データ)や削孔検層データを一括して解析・評価することが可能です。
現在施工中の新幹線トンネルにおいて本システムを適用していますが、これまでの実績で、原位置試験で測定した地山強度と本システムで求めた地山強度が概ね一致し、さらに地山強度の3次元分布が実際の地質構造と同様の傾向を示すことが確認できました(図-5参照)。

■ 特長とメリット

本システムの特長とメリットは以下のとおりです。

●施工データを使用して迅速に地山評価
掘削1サイクル分の施工データを3次元処理・解析するのに要する時間は概ね数分程度であるため、施工サイクルに影響を与えることなく3次元地山評価を連続的に行うことが可能です。
●より高度な評価
本システムで得られた地山物性(地山強度)の3次元分布データと切羽観察結果や発破パターン等の施工実績との比較・分析が容易で、その結果を掘削方法の妥当性評価に活用することができます。また、本システムで地山の弾性係数の3次元分布も求めることが可能であり、その結果を当社が開発したトンネル変形予測システム「PAS-Def」にも利用できるため、地山性状および掘削時の変形挙動を一括したより高度な評価が可能です。
●CIMとの連携
本システムで得られた3次元データを山岳トンネルのCIM上で一元管理させることができます。
●ドリルジャンボ稼動状況のモニタリング
ドリルジャンボの稼働状況を、現場事務所や本社・支店等の遠隔地においてリアルタイムにモニタリングすることが可能であり、機械故障の予防・早期発見にも役立てることができます。

本システムを活用することで、その結果を最適な支保や掘削手法の選定等に役立てることができるため、施工の安全性・経済性の更なる向上が期待されます。

■ 今後の展開
現在の現場適用を通してシステムの更なる改良を進めるとともに、他のトンネル現場へも積極的に展開させていきたいと考えています。
さらに、コンピュータ制御のドリルジャンボ以外にも本システムを適用可能とするため、削孔位置・角度の自動測定システムの開発も進めてまいります。

■補足説明
※1 穿孔エネルギー: 削孔検層に用いる評価指標の一つで、削岩機が単位体積の地山を削孔(穿孔)するために要した仕事量(エネルギー)を表しています。この穿孔エネルギーが大きいほど硬い地山と判断されます。
また、DRISS-3Dの地山強度は穿孔エネルギーから独自式を用いて算出されます。

 

図-1 システムの概要

 

写真-1 計測システム

 

図-2 専用ソフトによる削孔データの3Dボーリング表示例

 

図-3 専用ソフトによる解析結果例
(トンネル掘削範囲における空間データ補間処理後の地山強度3次元表示例)

 

図-4 地山強度の3次元分布出力例(トンネル掘削範囲の表示例)

 

図-5 切羽写真とDRISS-3Dによる地山強度分布の比較例