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2018年09月07日
AIで切羽作業を自動判定する『掘削サイクル判定システム』を開発 -AIで山岳トンネル施工の坑内無人化施工を目指す-

当社は、株式会社sMedio(東京都中央区、社長:岩本定則)と共同で、山岳トンネルの切羽作業をAI(人工知能)で自動判定する『掘削サイクル判定システム』を開発しました。

当社は、山岳トンネル工事における「施工・品質」、「地山評価」、「作業員の安全・健康」等の様々な課題を解決すべく、長年の技術と蓄積されたデータをもとに、AIによる分析と推論を行う『山岳トンネルAIソリューション』を推進しています(図1参照)。

今回はその第一歩として、山岳トンネル工事における穿孔・装薬、発破、ずり搬出等の切羽作業をライブカメラの映像からAIで判定し、掘削サイクルを把握するためのシステムを開発しました。これを利用することで、掘削サイクルの見直しによる施工パフォーマンスの向上や、坑内設備の最適運転による環境負荷の低減等が可能となります。

 

図1 『西松建設の山岳トンネルAIソリューション』構想図


■ 背景
山岳トンネルでは、通常1.0~1.5m程度の距離毎に、穿孔・装薬、発破、ずり搬出等の一連の作業を繰り返し実施することで施工を進めており、この一連の繰り返し作業を掘削サイクルと呼んでいます。
掘削サイクルの把握は、施工上の課題の抽出・改善を行い、生産性を向上するのに重要です。しかし、施工状況を常に人が記録することは困難であるため、従来は情報が断片的にしか得られませんでした。
そこで、ネットワークカメラで取得した映像を常にAIに判定させることで、掘削サイクルを連続的に把握することが可能な『掘削サイクル判定システム』を開発しました(図2参照)。

■ 本システムの特長
特長1 リアルタイムに切羽作業を自動判定
・AIを用いてライブ映像から切羽作業を常時自動判定するため(図3、写真1参照)、掘削サイクルをリアルタイムで容易かつ正確に把握することが可能です。この機能により、掘削サイクルを改善して生産性を向上させることができます。
特長2 データの取得、判定、学習の一連の動作が可能なシステム
・データをクラウド上に転送・蓄積しているため、導入現場だけでなく本社や支社等の支援部署からも映像の閲覧や判定結果の確認・修正が可能です。
・本システムを用いて、AIの学習に用いる教師データを容易に作成できます(図4参照)。

■ 期待される効果
・掘削サイクルの改善
→集計したデータ(図5、6参照)から現状の掘削サイクルを日々分析することで、改善に向けた対策を迅速に講じることができます。
・環境負荷の低減
→自動判定された作業内容に応じて換気設備等の坑内設備の出力を最適化することで、使用電力量を削減することができます。
・坑内無人化施工への寄与
→坑内重機の移動・稼動のタイミングを制御するための入力要素として本システムを利用することが可能であり、坑内の無人化施工に向けたシステム構築への寄与が期待されます。

■ 今後の展開
当社は、山岳トンネルの省人化・無人化施工を目指した『山岳トンネルAIソリューション』の構築を引き続き推進し、山岳トンネル工事の自動化、生産性向上、労働災害の低減等を進めてまいります。

 


図2 『掘削サイクル判定システム』の構成

 

本システムの構成(図2)に関する補足説明
・本システムは、ネットワークカメラ、クラウドサーバー、および複数のPCにより構成されます。
・切羽を監視するネットワークカメラから、ライブ映像が配信されます。
・現場事務所等に設置した判定用PCには学習済みAIが入っており、配信された映像から切羽作業を判定します。
・ライブ映像とAIの判定結果はクラウド上にも転送され、本社や支社等の支援部署においても、映像の閲覧や判定結果の確認・修正を行うことができます。
・修正した判定結果を支援部署の学習用PCへ送り、それを教師データとして学習モデルを更新します。これを用いてAIを随時教育し、判定精度を向上させます。
※教師データ:AIが判定基準を見出すのに用いるデータのことです。本システムでは、カメラ映像と人間による判定結果がこれにあたります。
※学習モデル:AIが見出した判定基準のことです。本システムでは、「映像に○○のような特徴が観られた場合には、△△の作業であると判定する」といった情報がこれにあたります。

 


 図3 リアルタイム判定画面の例

 

 写真1 ネットワークカメラの設置の様子

 

 図4 教師データ作成画面の例

 

 
図5 集計データの表示例(時間毎の切羽作業の判定結果)

 

図6 集計データの表示例(一日の各工種の時間配分)