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2019年02月15日
重機搭載型3Dスキャナを用いた「切羽掘削形状モニタリングシステム」を開発 -切羽のあたり箇所を可視化して作業の安全性向上と効率化を図る-

当社と株式会社ビュープラス(東京都千代田区 社長:桑島茂純)は、山岳トンネル切羽掘削面の整形作業の安全性向上と効率化を目的とした、「切羽掘削形状モニタリングシステム」を開発しました。このシステムは、重機に搭載した高速3Dスキャナを用いて切羽の掘削形状を取得し、キャビン内のモニター上で設計断面と比較することで整形の必要箇所を15秒程度で迅速に可視化することができます。本システムにより、目視確認としての切羽直下への作業員の立入りが不要となるため、作業の安全性向上と効率化が図れます。

■ 背景
山岳トンネル掘削の最先端部である切羽においては、発破後に掘削設計断面線よりも内空側に残った地山を掘削する整形作業(以下、あたり取り)が行われています。これまで、あたり取りの際は作業員が切羽直下に立入り、目視にて整形が必要な箇所(以下、あたり箇所)を判断してレーザーポインター等で重機オペレータに指示を出していました(図1参照)。
しかし、切羽は地山が露出しており、岩塊の抜け落ち(肌落ち)がひとたび発生すると、死傷災害につながる可能性が高い危険な場所であり、厚生労働省からも「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」において、切羽への原則立入禁止が示されています。
そこで、当社ではあたり取り作業における安全性の向上と効率化を目的に、高速3Dスキャナを使用して切羽掘削断面を計測し、設計断面と比較することであたり箇所を迅速に可視化する『掘削形状モニタリングシステム』を開発しました(図2参照)。

■ 概要
本システムでは、発破・ずり出し完了後の切羽において、あたり取りを行うブレーカ等の重機に搭載した高速3Dスキャナで切羽の掘削形状を計測します(図3参照)。掘削形状の点群データと設計断面を比較し、設計断面線よりも内空側に残ったあたり箇所を重機キャビン内のモニターにヒートマップ表示(図4、図5参照)させることにより、重機のオペレータが容易にあたり箇所を確認することができます。重機のオペレータは運転席モニター画面のヒートマップ表示を基にあたり作業を行うため、従来のように作業員が切羽直下に立入り、目視にてあたり箇所を確認する必要がありません。
高速3Dスキャナが、任意に配置した後方の特殊基準球(図6)を自動で探索することで、トータルステーションとの連動が不要となり計測時間を大幅に短縮しています。運転席モニター画面から計測開始の指令を出して、結果が表示されるまで15秒程度であり、掘削サイクルに影響を与えることなく、効率的なあたり作業を実現します。

本システムの特長を以下にまとめます.

●安全性の向上
高速3Dスキャナは重機に搭載されており、あたり箇所の結果は重機オペの運転席モニターに表示されるため、切羽直下での作業が無くなり、万が一肌落ちが発生しても重大災害につながることはありません。
●あたり箇所の可視化
従来、作業員による目視確認にて行われていたあたり箇所の判断を、スキャナ計測により±30~50mmの精度で定量的に可視化することで、作業員の技量に依らない手戻りのないあたり作業が可能になります。
●ヒートマップの2D&3D表示
あたり箇所をヒートマップ表示します。3D表示とトンネル側壁と天端部に展開した2D表示を同時にモニター上に表示して、あたり箇所を分かりやすくしています。3D表示はモニター上でドラッグすることで任意の方向から見ることが可能です。
●迅速な計測
高速3Dスキャナ自体が切羽後方の任意に配置した特殊基準球を自動で探索することで自己位置を特定するため、トータルステーションとの連動が不要となります。その結果、計測開始から結果の表示まで15秒程度と迅速であり、効率的なあたり取り作業が可能となります。
●各種データの採取
山岳トンネルの掘削段階から点群データを取得、蓄積することで実際の掘削土量、吹付けコンクリート量、リバウンド率など各種データの取得、分析が可能となります。

本システムを活用することで,山岳トンネルのあたり取り作業の安全性、作業性の向上が期待されます。

■ 今後の展開
当社施工中のトンネル現場で実証実験を継続し、効果の検証,システムの改良を進めてまいります。
さらに、高速3Dスキャナを活用したインバート掘削のモニタリング、切羽面の押出し計測、重機の姿勢制御などの技術開発を進め、山岳トンネル施工の無人化・自動化の実現を目指してまいります。

 

 
図1 従来のあたり取り作業


 


図2 システムイメージ

 


 
図3 ブレーカによるあたり取り作業

 

 

図4 運転席モニター確認状況

 

 

図5 計測結果表示例

 

 

                       図6 特殊基準球