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2019年09月24日
自由断面掘削機の掘削支援システムを開発 -掘削時にトンネル断面形状管理と地山評価をリアルタイムに実施-

当社は、株式会社ビュープラス(東京都千代田区 社長:桑島茂純)とジオマシンエンジニアリング株式会社(東京都荒川区 社長:塚田純一)と共同で、山岳トンネル掘削時の効率化と安全性向上を目的とした、「自由断面掘削機の掘削支援システム」を開発し、北海道新幹線渡島トンネル(台場山)工事で運用を開始しました。
このシステムは、掘削機に設置された高速3Dスキャナによる機体位置・姿勢把握手法を利用して掘削位置情報(カッタ先端の位置情報)をリアルタイムで可視化すると同時に、掘削に要した電力量等から掘削地山の性状を定量評価することができます。これにより、トンネル掘削形状や地山の安定性を掘削作業時にリアルタイムで把握することが可能となり、掘削作業の効率性や安全性の向上が図れます。

■背景
軟岩地山における山岳トンネル工事では、多くの場合、自由断面掘削機※1等を使用した機械掘削が行われます。自由断面掘削機による掘削では操作オペレータの目視による掘削が一般的であり、設計断面線外へ掘削しすぎること(余堀り)や計画線の内空側に地山が残ること(あたり)がないよう、必要に応じて作業員が危険な切羽直下にて目視等で確認する必要がありました。また、軟岩地山では切羽が脆弱で不安定なことも多く、支保の妥当性や切羽作業の安全性を確認するために地山性状を定量的に把握することも非常に重要となっています。
このような背景から、自由断面掘削機による掘削時において、トンネル掘削形状管理と地山性状の定量評価をリアルタイムで実施可能な掘削支援システムを開発しました。


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※1:自由断面掘削機とは、ブーム先端のカッタの回転で地山を掘削する土木機械であり、ロードヘッダ、ブームヘッダ等の商品名で呼ばれることもあります。掘削時のブーム伸縮や上下左右への旋回により、任意のトンネル形状に掘削することができます。
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■概要
本システムは掘削位置を可視化する『掘削ガイダンスシステム』および、掘削地山の性状を定量評価する『地山評価システム』で構成されます(図1)。
①掘削ガイダンスシステム
本システムは、自由断面掘削機を所定の位置に配置した際に測定される機体位置・姿勢情報および掘削時に計測されるブーム稼働情報をもとにカッタ先端部の絶対座標が計算され、その結果がリアルタイムでモニタ画面に表示されます。オペレータがこのモニタ画面を確認しながらブーム操作することにより、設計断面に沿った掘削を確実に行うことが出来ます(写真1、図2)。
なお、機体位置・姿勢情報については、機体に設置した高速3Dスキャナが切羽後方の任意の位置(座標は既知)に設置された特殊基準球を高速スキャンすることで求められます。ブーム稼働情報については、ブーム内の各可動部に設置した角度センサ等の計測値が使用されています。
②地山評価システム
本システムでは、まず掘削に要した電力量(掘削エネルギー)とカッタ軌跡より算出した掘削地山量から掘削体積比エネルギー※2を求め、さらに独自式を用いて掘削体積比エネルギーから地山強度が換算されます。この結果はモニタにも簡易計算結果としてリアルタイム表示されますが、専用の処理ソフトを使用することでより詳細な3次元の地山強度評価も行うことが出来ます(図3)。

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※2:掘削体積比エネルギーとは、「単位体積の地山を掘削するために掘削機械が要した仕事量」を表しており、この値が大きいほど硬質な地山であると評価されます。
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本システムの特長を以下にまとめます。
●高速3Dスキャナによる機体位置・姿勢測定
機体に設置した高速3Dスキャナが切羽後方の任意に配置した特殊基準球を自動で探索することで機体位置・姿勢を測定するため、トータルステーションとの連動が不要となります。この測定は掘削開始前に機体を切羽近傍に据えた際に実施しますが、測定に要する時間は10~20秒程度であるため掘削作業への影響がほとんどありません(写真1参照)。
●掘削効率・安全性の向上
モニタ画面中の設計断面線とカッタ軌跡を逐次比較することにより計画通りの断面掘削が可能となります。これにより余堀り低減を図ることでき、掘削量や余吹き量低減によるコストダウンが期待できます。また、切羽直下における掘削形状の確認作業を削減させることができるため、作業効率や安全性が向上します(図2参照)。
●掘削地山の3次元定量評価
掘削地山の強度特性を3次元的に把握することができるため、地山の崩落性や不安定化を迅速予測することが可能です。また、地山評価結果を実施支保の妥当性評価にも使用できます(図3参照)。
●遠隔地におけるリアルタイムモニタリング
本システムで得られた掘削情報は、坑内の無線・有線通信およびインターネットを介してクラウドサーバーに蓄積されるとともに、現場事務所や技術研究所等の遠隔地においてリアルタイムでモニタリングすることができます。
●CIMとの連携
本システムで得られた出来形計測や三次元地山評価結果を山岳トンネルのCIMと連携させることも可能であり、総合的な施工管理に利用することができます。

■今後の展開
当社は現在、山岳トンネルの無人化施工への取り組みとして、各工種の自動化・遠隔操作技術の開発を積極的に進めており、本システムの開発もその取り組みの一環です。今後は本システムの更なる改良を継続し、自由断面掘削機の無人化施工技術の確立へ繋げていく予定です。

 

 

 

図1 システムの概要

 

 

 

写真1 システム実施状況

 

 

 

図2 掘削ガイダンスシステムによるカッタ先端部の軌跡表示例

 

 

 

図3 地山システムによる3次元地山強度分布表示例