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2019年12月03日
砒素を含有する掘削ずりの浄化技術を開発 -オンサイト浸漬洗浄技術を確立-

当社は、金沢大学(理工研究域、長谷川浩 教授)と共同で、砒素を含有する掘削ずりの浄化技術を開発しました。本技術は、自然由来の重金属等を含有する掘削ずりを対象とし、洗浄液に生分解性のキレート剤等を用いた浸漬式の洗浄処理によって砒素を抽出除去し、溶出を低減する技術です。

■背景
近年、建設工事において自然由来の重金属等を含有する土壌・岩石に遭遇する事例が多くなっています。重金属等の対策の多くは掘削除去・場外搬出処分に依存しており、現場の条件によっては搬出先(利用先)の確保が困難となる場合も考えられます。このため、現場内での有効利用や、場外での利用促進が望まれており、それらを可能にする無害化技術の確立が望まれています。

■技術の概要
本技術は、当社と金沢大学が2015年に共同開発したキレート剤による湿式洗浄(キレート洗浄)を基本原理とし、砒素や鉛といった重金属等の溶出量が基準を超える掘削ずり(以下、ずり)を対象とする浄化技術です。現場にピットを設置し、ずりをピット内で複数の洗浄液に浸漬させ、重金属等の抽出を行い、溶出量を基準以下に低減し、ずりの有効利用を図ります。施工フローを図1に示します。

 


図1 開発技術の施工フロー

 

本技術の適用にあたっては、事前に適用性試験を行い、効果を確認の上、洗浄時間等の詳細条件を決定します。その際には、ずりに適用する溶出試験方法および評価基準を関係者で協議の上、決定します。

<技術の特徴>
・簡易な施工手順でずりを洗浄し、重金属等の溶出を低減化でき、利用を図ることができる。
・洗浄液への浸漬による抽出を浄化の原理とするため、特殊な機械設備を必要としない。
(主要設備は、ピット、薬液貯留槽、水中ポンプ、排水処理装置などシンプルな構成。)
・浸漬による処理であるため、ずりに洗浄液を確実に接触させることができ、むらなく処理できる。
・洗浄時間の目安はトータル6時間程度であり、現場の施工サイクルに組み込むことが比較的容易。

今回、砒素を含有する頁岩のずり※5を対象とし、破砕し粒径0.5~4.0mmに調製後、4つの粒度(0.5~1.0、1.0~2.0、2.0~2.8、2.8~4.0mm)に分画し、それぞれ本技術で洗浄を行いました。結果、図2に示すとおり、洗浄後、すべての画分で砒素溶出量は基準(0.01mg/L以下)を満足しました。本結果から、本技術によってずりの有効利用の促進を図ることができると考えています。
注※5:砒素の土壌溶出量(環告18号)0.026mg/L(破砕し粒径2mm以下とした試料での分析値)

 

 図2 砒素含有ずりに対する浄化効果
(粒径2mm以下に破砕せず、そのままの粒度で土壌溶出量試験に供した結果)
注 *:一部の画分で洗浄後に砒素溶出量が増加していますが、洗浄過程での砒素抽出により、
砒素の溶出が一時的に促進された影響が僅かながら現れた可能性などが考えられます。

 

■今後の展開
今後、様々な岩種に適用して知見を積み重ね、実現場への試験適用を行い、実用技術としての完成を目指していきます。