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2020年07月20日
矢板工法トンネル覆工再生事業に対応するはつり工法の確認試験を実施

当社は、矢板工法で建設されたトンネルの覆工を模したコンクリート供試体を使用して、はつり工法の確認試験を当社の愛川技術研究所で実施いたしました。

1.試験の背景

高度成長期に建設されたトンネル覆工は矢板工法で建設されたものが多く、その特徴から覆工にひび割れや漏水などの変状が顕在化してきています。その対策として、背面空洞の充填、止水工、導水樋の設置などの対応がとられていますが、湧水量が多く、目詰まりを生じて導水に支障が出ることが多いため、覆工構造の抜本的な改善が求められています。
その改善方法として、既設の覆工コンクリートをロックボルトにより補強後、表面をはつりとった上で防水工および再覆工といった、トンネル内空断面を確保した上での覆工再生が検討されていますが、車両の通行を確保した上で覆工再生を行うには、作業スペースは大幅な制限を受けてしまいます。
これまで作業スペースが制限された状態でのはつり作業は、ほとんど事例が無く施工計画に必要な作業効率等が不明確でした。
そこで、2種類のはつり工法について、作業スペースに制限を受けた状態でも適用可能かどうか試験を実施して、作業効率や仕上がり具合を確認することで、正確な施工計画立案のための資料とすることとしました。

2.試験概要

(1)コンクリート試験体
幅4,000mm×高さ2,200mm×厚み1,500mm、コンクリート30-12-20N(試験時の圧縮強度41N/mm2)
試験切削範囲は両工法とも幅300mm×長さ2,000mm×深さ100mmとしました。
(2)対象はつり工法
①ウォータージェットはつり工法
高水圧でコンクリートを切削します。コンクリート面に取り付けたレールを基準として、はつる範囲を複数回(セット)往復切削して仕上げます。切削深さは、2本のノズルから噴射される高圧水の衝突点位置で調整します。円形な切削範囲をラップさせながら切削しますので、試験切削範囲に比べて切削範囲は大きくなってしまいますが、広範囲を連続的にはつる場合には問題とはなりません。
②回転ドラム式はつり工法
切削ビットを装着したドラムを回転させてコンクリートを切削します。支持フレーム内を横移動することで切削範囲が調整されます。切削深さは移動用フレーム脚部の伸縮によって行います。今回は、切削用の反力を0.25m3クラスのバックホウでとりました。

 

 

(3)測定項目
実施工の検討に資するために以下の項目を測定しました。
・一定の面積・深さを切削した時の時間から求められた作業効率。
・騒音等の測定を含む作業状況確認。
・切削面を3Dスキャナ等で測定した仕上がり状況確認。

 

試験状況


3.試験結果

(1)はつり効率
今回の試験条件における両工法の作業効率を把握することが出来ました。
(2)騒音
今回の試験条件における両工法の騒音レベルの違いを把握しました。
(3)振動
ウォータージェットはつり工法については、予想していた通り、躯体自体の振動はかなり抑えられています。回転ドラム式はつり工法は切削機を外部から壁面に押付けて切削するため、予想されたような振動が発生することが確認されました。
(4)仕上がり状況
ウォータージェットはつり工法と回転ドラム式はつり工法での表面の仕上がり具合の確認が出来ました。ウォータージェットはつり工法は対象コンクリートおよび切削セット数と仕上がりに関係があるため、はつり効率と仕上がりのバランスが重要であることが確認されました。
両工法とも表面に浮き、剥離およびマイクロクラックは確認されませんでした。
(5)3Dスキャナでの測定
今後の深さ管理の参考とするために、はつり面を3Dスキャナで測定し可視化しました。その結果、切削深さは的確に表現できていること、また、写真撮影画像との比較から表面の仕上がり状況が良く捉えられていることを確認しております。

 

表面仕上がり状況


4.今後の展開
本試験では2種類のはつり工法を選定し、各々の特徴および効率について把握できました。しかしながら、実構造物では、使用可能な施工ヤード、切削ガラ等廃棄物の搬出・排出方法、および排出距離等が刻々と変化することが予想されます。それら現場条件を考慮した上で、今回得られた情報を基に最適なはつり工法の選定や組み合わせおよび管理方法の検討を行うとともに、再覆工も併せた覆工再生についても検討を進めることで、インフラの大規模更新・修繕に貢献してまいります。