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2022年04月26日
生コンクリートの材料分離抵抗性を簡便に定量評価する手法を考案

- 材料分離によるトラブル発生を抑制し、コンクリートの品質向上に貢献 -

 

当社は、岐阜大学(工学部・小林孝一教授)との共同研究により、施工前に生コンクリートの材料分離抵抗性を簡便な方法で定量的に評価する手法を考案しました。現場に持ち込んで扱える小型の評価試験器を製作し、容器内に詰めたコンクリートに振動エネルギーを加えた時の電気伝導率の経時変化で材料分離抵抗性を評価する方法です。現在、現場への実装に向けて、データの採取、判定精度等、生コンクリートの評価の妥当性の検証を続けています。

 

■ 背景
 近年、建設業においては省力化・省人化施工が加速しています。そのため、コンクリートの打込み作業においても、施工性が良い流動性の高いコンクリートの需要が増えています。しかし、高い流動性を持つコンクリートは、骨材やモルタル、水などの材料分離によって品質が損なわれることがあります。コンクリートの材料分離とは、局所的に骨材が集中することや、水分が移動し、コンクリートが不均一になることを示しており、強度や耐久性、水密性の低下につながり、コンクリートの品質低下となる大きな要因のひとつです。これまで、一般的な材料分離の評価は、経験者による目視での判断によることが多く、評価結果は経験者の力量によって左右され、定量的な評価方法は確立していませんでした。

 

■ 技術の概要
 本技術は、容器に2基の小型電気伝導率センサ(写真-1参照)を装備した評価試験器を使用し、加振に伴う生コンクリート中の電気伝導率(以下、EC)の経時変化を数値化することで材料分離抵抗性を評価します。これにより、今まで目視で判断していた材料分離抵抗性を現場で簡便かつ定量的に評価でき、締固め不足や材料分離によるトラブル発生が抑制され、コンクリートの品質向上が期待されます。
 測定・評価方法は、試験器に投入した生コンクリートをバイブレータで加振し、ECの変化のしやすさ、言い換えれば生コンクリート内部の材料の移動しやすさを数値化します。容器内の上下に設置されたセンサ周囲のECを1秒ごとに計測し、それらのEC変化率が閾値に達するまでの時間で材料分離抵抗性を評価します。
 例えば、図-1に示すグラフ①は水分量が多く材料分離がみられる配合例であり、グラフのように急激なECの変化を示します。一方で良好な配合例であるグラフ②では、上下のECの変化が緩やかであり、閾値に達するまでの時間が長いため、良好な材料分離抵抗性を有しているといえます。この閾値に達するまでの計測時間(秒)を材料分離の判定の指標としています。
具体の試験方法としては、試験機の容器に高さ400mmまでコンクリートを投入し、ECの計測を開始します。規定のバイブレータを用いて60秒間の加振を行い、その間のECの変化率を用いて材料分離を評価します。一連の計測は、作業員一人で、容器にコンクリートを投入後、結果の出力まで2分程度となっており、簡易で迅速な試験方法となっています。

今回考案した本試験方法の特徴を以下にまとめます。

●定量的な評価が可能
 従来の経験者による目視での判断という漠然とした評価とは異なり、未経験者でも材料分離を定量的に評価することが可能です。
●現場で簡易に測定が可能
 複雑な作業を必要とせず、作業員1名で材料投入から試験完了まで2分程度で結果を出力することが可能です。(写真-2、図-2参照)
●携帯端末でリアルタイムに数値の変化を確認
 携帯端末と制御装置部(写真-2内①)がWi-Fi接続することで、ワイヤレスで手元でのデータ確認が可能となっています。(写真-2、図-2参照)
●可搬性に優れた試験器
 試験器は現場での作業性を考慮した重量(5㎏程度)、サイズ(高さ450mm)となっており、現場内の必要な場所に持ち運び、測定ができ、市販のモバイルバッテリによる計測も可能となっています。(写真-1、写真-2参照)

 

写真-1 材料分離測定装置

 

図-1 加振中の生コンクリートの電気伝導率(EC)の計測データの例

 

写真-2 実際の計測状況

 

図-2 実際の計測画面

■ 今後の展開
 各社プラントのご協力の下、実配合レベルの多種多様な生コンクリートのデータを採取し、判定精度の向上に努めます。また、当社の現場において生コンクリートの評価方法のひとつとして品質管理に役立て、社外にも広く展開していく予定です。