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2013年06月04日
天然鉱物由来微粉末で焼却飛灰からの放射性セシウムの溶出抑制

 西松建設(株)は、放射性物質を含んだ焼却飛灰(以下、飛灰)に天然鉱物由来の微粉末である「アドバンスクレイZ」を所要量添加しセメント固化することで、飛灰からの放射性セシウムの溶出を大幅に抑制できる性能を確認しました。


■ 背景
 東日本大震災以降、一部の焼却施設では放射性物質を含んだ焼却灰(主灰、飛灰)※1の発生が確認されており、特に、飛灰に含まれる放射性セシウムは、水との接触によって溶出しやすいことが分かっています。このため、飛灰を安全に保管・処分する上で、放射性セシウムの外部流出を抑制できる有効な方法が求められています。
 西松建設は、震災後、飛灰を対象にした放射性セシウムの不溶化対策の研究に着手し、(有)昭和窯材と(株)シグマクリエイトの協力のもと、「アドバンスクレイZ」(写真1)が放射性セシウムの溶出抑制に高い効果を有していることを試験で検証しました。


■ 概要
 当社の試験結果では、飛灰(放射性セシウム濃度1kg当たり約800~4,300Bq)を用いた場合、放射性セシウムの溶出率は、飛灰(原灰)で約80%、飛灰をセメントで固化処理した場合でも約50%と高く、大半が溶出する結果でした。
 そこで、セシウムの吸着性に優れた材料に着目して試験を重ねた結果、ベントナイトを主成分とした天然鉱物由来の微粉末である「アドバンスクレイZ」がセシウムの固定化に有効であることを確認しました。アドバンスクレイZは、原料を特殊な粉砕・精製技術でナノ粒子に加工した層状結晶構造の微粉末で、飛灰の質量に対して10%以上添加してセメント固化処理した場合(写真2)、放射性セシウムの溶出率はおよそ10%まで抑制されました(図1)。また、比較用に実施した天然ゼオライト微粉末(平均粒径10μ)の試験結果と比べて、半分の添加量で放射性セシウムの固定化性能は同等以上でした。なお、溶出試験はJISの利用有姿撹拌試験※2で行っており、溶出時間は6時間で、分析試料の形状はシリンダー状の固化体ではなく、放射性セシウムがより溶出しやすいように10mm以下に粗粉砕した粒状物にして評価をしています。
 次に、放射性セシウムの長期溶出挙動を評価するため、溶出時間を通常の6時間から、1日、3日、7日、14日と延長して水との接触を積極的に行った溶出試験を実施しました。試験の結果、アドバンスクレイZを10%添加した飛灰セメント固化物の場合、開始から1日目以降、溶出率は概ね定常状態となり、放射性セシウムの固定化率は80%を超える結果が得られ、長期に渡って多くの放射性セシウムの溶出を抑える効果を期待できます(図2)。なお、溶媒中に溶出した放射性セシウムの濃度は100Bq/kg以下で、さらに国の暫定排水基準※3を下回っており、公共水域に排水されても問題のない濃度レベルでした。


■ 今後の展開
 放射性セシウムを含んだ飛灰にアドバンスクレイZを添加してセメント固化処理する方法は、飛灰の持続可能な保管・処分形態の一つとして有効であり、今後、自治体や関係機関などに情報発信していきます。

 

※1 焼却灰には主灰と飛灰の2種類があり、前者は焼却炉の炉底に残存した灰分、後者は排ガス中に浮遊する灰分等を集じん装置で捕集(して薬剤処理)したものです。焼却前の可燃性廃棄物に含まれていた放射性セシウムは、焼却処理の過程で濃縮されて多くが飛灰に移行すると言われています。

※2 JIS K 0058-1(スラグ類の化学物質試験方法-第1部:溶出量試験方法)の利用有姿撹拌試験とは、試料に10倍量の純水を加えて毎分200回転で6時間撹拌混合した後、混合液を遠心分離し、上澄み液をろ過して濃度分析します。なお、利用有姿とは、実際に使用する時とほぼ同じ形態にした製品、又は製品と同じ配合で作製した品質管理用の供試体を示すが、当社では直径5cm×高さ10cmの円柱供試体を作製した後、粒径10mm以下に粗粉砕した試料で溶出試験を実施しました。

※3 国の暫定排水基準:公共水域の水中における事故由来放射性物質の濃度は下式より1.0を超えないこと。

写真1 アドバンスクレイZ

写真2 飛灰のセメント固化物

図1 放射性セシウムの溶出試験結果例

図2 放射性セシウムの長期溶出試験結果例