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2013年07月23日
震災がれき焼却主灰と製鋼スラグを代替骨材とした「セメント固化成形体」を開発

 西松建設(株)は、JFEスチール(株)、竹本油脂(株)と共同で、久田真教授(東北大学大学院)の指導のもと、東日本大震災で発生したがれきの焼却主灰と鉄鋼副産物の製鋼スラグを骨材代替として有効活用した「セメント固化成形体」を開発し、実用化に目処をつけました。


■ 背景
 震災の復旧・復興工事の本格化と共に、建設資材の不足が懸念されており、代替材料として災害廃棄物や各種副産物などを有効活用した復興資材技術の開発が求められています。そこで、西松建設ら3社は、災害廃棄物の処理過程で発生した仮設焼却炉の「焼却主灰」(写真1)や、鉄鋼製造工程で生成される副産物の「製鋼スラグ」(写真2)に注目した研究に着手し、天然骨材を使用せずに製作できる「セメント固化成形体」を開発、室内試験で施工性や品質、安全性を確認しました。


■ 概要
 本技術は、震災がれきの焼却主灰に、セメント(高炉B種)、水、混和剤を加えて混練した流動性に富んだモルタルを作製し、型枠内に予め打ち込んだ後、最大粒径60~40mmの製鋼スラグ(エージング処理済み)の粗粒材を投入して製作する固化成形体です。全容積に占めるリサイクル材率は70%で、この内の約3割に廃棄物である焼却主灰を再利用します。焼却主灰には、粒径15mm以下にふるい選別した灰をほぼ全量利用するため、最終処分量の減容化に寄与します。また、製鋼スラグは高炉で製造された銑鉄(せんてつ)を鋼(はがね)にする過程で生成される副産物のため密度が相対的に大きいという特徴があり、再利用によって天然石等の資源利用も低減できます。なお、施工方法にポストパックド方式(モルタル先行充填式)を採用したことで、粗粒材に粒径の大きい材料(粗粉砕したコンクリート塊など)を用いた場合にも対応できます。
 次に、施工性や品質・安全性について、大型ブロックを作製して確認をしました(写真3、写真4)。なお、焼却主灰は関係機関の了解のもと、被災地の仮設焼却炉で採取した実灰を使用。試験の結果、ブロック表面の仕上がりは良好で、内部に空隙はなく密実な固化体を製作できました。また、密度は2.5t/m3程度で一般的なコンクリートよりも重く、圧縮強度は平均15N/mm2以上(材齢28日)の値が得られることを確認しました(写真5)。
 焼却主灰に由来して混入が懸念された有害物質に対する安全性を評価したところ、鉛や砒素などの重金属類の溶出量は土壌や地下水に係る環境規制値内に収まることを確認しました。さらに、福島第一原発での事故により拡散した放射性セシウムの影響について、固化成形体中の含有量は1kg当り100Bq(ベクレル)以下のクリアランスレベルとなり、また地下水や雨水との接触による溶出量は検出限界濃度未満で国の暫定排水基準を十分に下回り、公共用水に流出しても問題ない濃度でした。


■ 今後の展開
 今回開発したセメント固化成形体は、嵩上げ材料や盛土(道路、避難高台等)の中詰め材、公共構造物の基礎地盤材、ケーソンの中詰め材、養殖筏用アンカーブロック、河川堤防の中詰め材、護岸の内部材などへ展開したいと考えております(図1)。


※「エージング処理」とは、製鋼スラグ内に残存したカルシウム成分が水と反応して体積膨張するのを低減し安定化させる処理のこと(JIS A 5015「道路用鉄鋼スラグ」に規定)