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2014年01月20日
ノンコアボーリングを用いた切羽前方の重金属類調査技術を開発

 西松建設(株)は、山岳トンネルにおいて切羽前方の地質探査と同時にノンコアボーリングで得られる地山試料(以下、くり粉と呼びます。)を用いて、切羽前方の重金属類リスクを事前に評価する調査技術を開発しました(特許出願中)。本技術は、従来のコアボーリングを用いた手法に比べて短期間かつ低コストで実施可能であり、その有効性を山岳トンネルの現場で確認済みです。


 ※くり粉:ノンコアボーリングで得られる岩の破砕片で、削孔水と共に孔口より排出されます


■背景

 山岳トンネルにおいて地山に重金属類のリスクがある場合は、掘削ずりを分析し、基準適否を判定した上で仕分けを行い、再利用先または処分先に搬出するため、分析期間中の仮置場が必要となります。ここで、用地が狭隘な現場では掘削ずりの仮置場が十分に確保できない場合があります。このような場合には切羽からコアボーリングを実施し、採取したコアを分析試料として掘削ずりの発生前に重金属類のリスクを評価する方法が用いられています。しかしながら、コアボーリングは専用の削孔機械を要することによるコスト増加および探査時間が長いことによる工程の長期化という課題がありました。


■概要

 コアボーリング専用機械を使用せず、山岳トンネルの汎用施工機械であるドリルジャンボを使用したノンコアボーリングで得られるくり粉を分析試料として、掘削ずりの発生前に重金属類のリスクを評価する調査技術です。
 一般に、ノンコアボーリングによる削孔時に地山から遊離した重金属は、削孔泥水中の細粒分に吸着し易いと考えられます。よって、ノンコアボーリングで得た地山試料に対し重金属類を適正に分析評価するためには、試料採取時に細粒分をロスなく回収し、後の分析評価に反映させる事が重要となります。ノンコアボーリングは、水を用いて削孔するため、削孔の際に泥水状のくり粉が大量(約60リットル/分)に孔口から出てきます。このため、バケツ等の汎用の容器を孔口に添えて試料を採取する方法(写真1)では、細粒分を含む泥水をロスし易く、細粒分の回収率が低いため、分析試料としての信頼性が高くありませんでした。
 本技術では、試料採取を行う対象区間において、全ての粒径のくり粉を効率よく回収し、分析評価に反映でき、適正な判定を行うことが可能となりました。具体的には、先行削孔した孔口に試料採取器具を設置(写真2、3)して削孔することで、削孔作業の妨げにならず、対象区間のくり粉泥水をロス無く回収する事が可能となりました(図1、写真4)。現場作業を含めた上記評価のフローを図2に示します。
 本技術を砒素の溶出リスクが懸念される山岳トンネルに適用し、コアボーリングで得られた試料との比較を行いました。その結果、本技術を用いて採取したくり粉試料の砒素溶出量は、コアボーリング試料(公定法)の結果と同様の変化傾向を示し、本技術の有効性を確認しました。
 本技術を用いた試料採取は、従来技術であるコアボーリングと比べて1/5程度の調査時間(採取時間)で実施が可能であり、費用についても半分以下程度です。
 また、本技術は当社技術のDRISS(削岩機を用いた切羽前方探査システム)と同時に実施できるため、地山性状の評価も同時に可能です。そのため、地山の熱水変質と重金属溶出に相関性があると考えられる施工区間に対して、熱水変質に起因する軟弱箇所で重金属分析を重点的に行う、といった対応も可能です。


 まとめとして、本技術の適用による利点は以下のとおりです。
1)コアボーリングに比べて短期間、低コストで試料採取が可能
2)対象区間において全粒径のくり粉を効率的に採取可能なため、測定の信頼性が向上
3)当社保有技術DRISSとの組み合わせにより、地山性状の評価を同時に実施可能
4)削孔作業の支障とならずに、施工中のくり粉を安全に採取可能


■今後の展開

 今後は現場実績を重ね、分析評価の精度向上を図るとともに、更なる迅速化および合理化を目指してまいります。

 

図1 ノンコア水平ボーリングによる試料採取イメージ図

図2 本技術による重金属リスク評価のフロー