建築技術
上部構造

フュージョンビーム (Fusion Beam)工法

梁のトップコンクリートに床スラブと同一強度のコンクリートを打設し、施⼯の合理化・省⼒化が図れる⼯法

概要
一般のプレキャスト(以下、PCaと称す)コンクリート梁工法では、梁下部コンクリートをPCaとして高強度コンクリートが用いられます。梁上部のトップコンクリートは、PCaと同一強度の高強度コンクリートを現場打設する必要があります。通常、床スラブのコンクリート強度は、梁のコンクリート強度に比べて低いため、PCa梁工法では梁に取り付く床スラブとトップコンクリートとの強度打ち分けが必要となります。

コンクリートの強度打ち分けの施工は、トップコンクリートの止め型枠として、メタルラス等が使用されており、施工が煩雑となります。また、現場打設されるトップコンクリートは、コンクリート打設の容易さを確保するために高流動化されており、止め型枠からあふれ出す等の不具合が発生する可能性もあり、施工上の問題がありました。

フュージョンビーム工法は、梁のトップコンクリート(梁上部コンクリート)に床スラブと同一強度のコンクリートを打設して構成される構造であり、コンクリートの打ち分けに必要とされる、止め型枠本体の材料や、止め型枠を設置するための作業手間が削減できるといった、施工の合理化・省力化が図れる工法です。

「フュージョンビーム工法 設計・施工指針」に従って設計・施工された梁は、使用限界時(長期荷重時)に使用上の支障が生じず、損傷限界時(短期荷重時)に修復性を損なう損傷が生じない。また、安全限界時(極めて稀に発生する地震時)に同指針で定める終局強度と変形性能を有することが、構造性能実験によって確認・証明されました。