建築技術
上部構造

アジャストビーム構法

梁端部に機械式継手を設置可能とするヒンジリロケーションRC梁構法

概要
鉄筋コンクリート造の柱梁接合部は多くの鉄筋が混み合う箇所であるため、プレキャスト化による合理化・省力化が望まれます。プレキャスト部材の接続に一般的に用いられる機械式継手は、A級継手の認定上の制約から、降伏ヒンジ領域を避けた位置に設ける必要があります。従来の梁の場合、降伏ヒンジ領域は降伏ヒンジ位置の柱面から1Dまでの区間(D:梁せい)であることから、中柱接合部のプレキャスト部材長さは、運搬車両で積込できる長さ2.4mを超えてしまい、プレキャスト化が困難でした。従来の梁は梁主筋を同径・同強度で継手接続するため、降伏ヒンジ位置は柱面となりますが、アジャストビーム構法は、降伏ヒンジ位置を調整する技術(ヒンジリロケーション技術)を活用して、梁端部から接合部内の主筋(梁端補強部主筋)を梁一般部主筋より太径・高強度化することで、降伏ヒンジ位置を継手先端位置で成立させます。機械式継手を柱面寄りに設置できることから、運搬車両に積込できるプレキャスト接合部を実現できます。なお、本構法は静岡理工科大学の丸田誠教授のご指導のもと開発しました。