土木

山岳トンネル工事における
バッチャープラントの骨材残量を見える化

骨材残量をいつでも、
どこからでも確認可能

当社は、山岳トンネルで使用されるバッチャープラントの骨材残量の見える化技術『BP-Tracker』を開発しました。残量データをリアルタイムにクラウドで共有し、ビジネスチャットアプリによって、いつでも、どこからでも確認が可能になることで、バッチャープラントの材料管理作業の省人化、効率化を図ります。

背景

山岳トンネル工事において、吹付コンクリートは重要な支持部材であり、使用するコンクリートは通常、現場に設置したバッチャープラントで昼夜を問わず製造されています。コンクリートの材料である細骨材や粗骨材、セメント、フライアッシュなどは、過不足が無いように適宜、現場技術者が日々の作業中に現地で残量を確認し、注文・補充しています。しかし、時折、技術者の確認不足や経験不足からくる進行判断のミスにより、注文手続きが遅れて補充不足が発生することがあります。このような状況が夜勤時に発生すると、吹付コンクリートの製造が滞り、トンネル掘削作業の一時中断や、切羽崩落等に対する応急処置が難しくなるなどの問題が生じます。

さらに、注文を過剰にしてしまった場合には、骨材ビンが一杯になり搬入できずに持ち帰りとなってしまう事態も考えられます。このため、トンネル工事全体の進捗状況を把握し、材料の残量を適切に管理するために、現場技術者は絶えずトンネルサイクルの確認や現地でのコンクリート材料の確認・材料の注文などに時間と労力を取られてしまう課題がありました。

詳細

バッチャープラントの骨材残量見える化技術『BP-Tracker』は、コンクリートの材料である細骨材や粗骨材のストックされている骨材ビンの残量をリアルタイムに計測(図1)し、管理画面(図2)に表示するとともに専用クラウドに残量データをアップロードします。専用クラウドとビジネスチャットアプリ「direct(ダイレクト)」※1とのAPI連携※2により、現場技術者、作業員、骨材搬入業者などはいつでも、どこからでも骨材残量を確認することが可能となります。

骨材残量の計測にはLiDAR※3を使用しており、LiDARで取得した骨材ビンの残量の形状から体積を算出しています。計測は24時間、365日リアルタイムに稼働しており、計測誤差3%以内で残量を数値化することで、確実な材料管理が可能となります。

また、専用クラウドとチャットアプリとのAPI連携では特定のコマンドを入力するとチャットアプリ上に配置したチャットボットが現在の骨材残量のデータを専用クラウドから呼び出して、回答します(図3)。また、事前に任意の時間にチャットボットが通知してくれる設定もでき、たとえば作業前や作業終了時にバッチャープラントの骨材残量を通知してくれることで、現地に行って直接確認しなくても骨材の注文過多や注文忘れを未然に防ぐことが可能となります。

今後の展開

開発したシステムは現場での試験運用を通じて、継続的に改良を行う予定です。また、今後はコンクリート製造時における材料供給の自動化や骨材注文の自動化も視野に開発を進め、バッチャープラントの完全自動化を目指します。

補足

※1 direct(ダイレクト):株式会社L is Bが提供する現場のコミュニケーションツールとして国内で開発しているビジネスチャットアプリ

※2 API(Application Programming Interface)連携:異なるアプリケーション間やシステム間でデータや機能を連携し、利用できる機能を拡張すること

※3 LiDAR(Light Detection And Ranging):離れた場所にある対象物にレーザー光を照射し、その反射光を光センサーで収集した情報から、対象物との距離や対象物の形状などを測定するリモートセンシング技術

図1 『BP-Tracker』プラント設置状況
図2 リアルタイム計測管理画面
図3 「direct(ダイレクト)」上のチャットボット