ガバナンス

社外取締役によるメッセージ

社外取締役・監査等委員

池田 純

厳しい環境下で発揮できる絶対的な強みを認識し、変化に挑戦

社外取締役・監査等委員として7年目に入りました。この間、世の中の変化は大きく、これまでの前提が通用せず、予測困難なことが多くなっています。特にこの1年、当社は、資本業務提携などで大きな決断、実行を経験しました。また一方で、 SDGs、ESG、TCFD、脱炭素、DXなどに関連して市場からの要求は多岐にわたり、具体的な取り組み姿勢を問われるようになっています。その対応には、経営資源、特に人的資源の投下が必要です。東証でプライム市場を選択した以上、避けて通れない道です。

このような中、当社は取締役会の運営をはじめとして、制度の見直しや組織改編を逐次実施してきています。しかしながら、堅実、真面目と社内外で評される企業文化もあり、市場の変化を先取りする大胆な変化には至っていません。長く培われてきた堅実、真面目という企業文化は安心感、信頼感につながる、会社として極めて重要な要素ですが、保守的で変化、変革に挑戦する姿勢が弱いという面も否めません。また、業界や自社のおかれた状況が他と比較して特殊であると考える傾向も見られます。これは横並び意識につながり、変革を阻害しかねません。当社の規模、業界内での立ち位置は、市場の変化、業界の変化を先取りするに適していると思います。よりスピード感のある、大胆な変革が期待されます。

大胆な変革は、将来にむけた事業戦略の構築において特に重要です。建設業各社が掲げる脱単純請負とは、事業リスクを自ら負うということです。従来とは異なる観点での検討、取り組みが必要であり、これは環境・エネルギーなどの新規事業に限らず、建設事業、開発・不動産事業においても同様です。今後、取り巻く環境がますます厳しくなることが想定される中、リスクが大きいからといって何もやらなければ、衰退、消滅にむかわざるを得ません。会社としてのリスク負担能力の限界を見極めながら、組織全体で覚悟をもって挑戦することが必要です。厳しい環境下で発揮できる絶対的な強みが何かを全員で認識し、これを梃子として変化に挑戦し、新しい価値をつくる総合力企業として持続的に発展することを期待します。

社外取締役・監査等委員

鈴木 乃里子

新しい時代の流れや変化に柔軟に対応できる人財の育成を

社外取締役・監査等委員に就任した昨年6月、円滑なコミュニケーションと信頼関係の構築をめざし業務に取り組み始め、あっという間に1年が経ちました。コロナ禍でなかなか対面での交流が難しい中、取締役会や事業本部長などとの意見交換、支社監査などでの現場の方々との関わりを通じて、当社の堅実的で真面目な社風や温かい心配りを大切にする文化を強く感じています。

「中期経営計画2023」がスタートして1年が経った今、環境の変化に対応しつつ、持続的に企業価値を向上させていくためには、若い世代の人財育成が課題となってきます。当社が長年培ってきた高い技術力という強みや堅実性という長所を生かしつつ、新しい時代の流れや変化に柔軟に対応できるような人財を、長期的視野に立ちつつ、スピード感を持って着実に育成していくことが望まれます。

社外取締役

松坂 英孝

変化へのしなやかな対応 企業の基礎力を確認し、強化する

近年、社会・経済・環境の想定外、予見不能な変化が頻発していますが、企業がこうした想定外の変化に対応するには、過去の経験だけでは不十分で、何よりも発想や行動の「しなやかさ(柔軟性)」が求められます。そこで、新任社外取締役として、この柔軟性を生み出す基盤となる企業の「基礎力」を確認し、その強化につなげたいと思います。

西松建設の基礎力について確認したい点は次の4つです。

  1. 1社員が個別最適でなく全体最適で思考し、分かりやすく説明できているか。
  2. 2企業情報が社内で共有され、疑問点を自由に議論する風土があるか。
  3. 3仕事を平易化できているか。社員が新しい課題にチャレンジし、成長しているか。
  4. 4目標が共有され、事業ポートフォリオとリスク発生時の影響、対策が整理されているか。

その上で、社員の皆様には、組織の基礎力を高め、総合力を上げること、そして、社外・異業種で生じている変化に目をむけ、その中で良いと思ったことは自社でもトライすることに努めていただきたいと思います。私も西松建設の企業価値を一層高めるため、必要な経営判断に的確な助言を行い、企業の成長と経営の質の向上に貢献してまいりたいと思います。

社外取締役・監査等委員

久保 俊裕

皆さんの新たな挑戦と相互のコミュニケーションにより総合力企業へ

当社が直面するさまざまな課題を深く認識した上で、これまでの製造業での経営経験を活かし、自身の役割を果たしていきたいと考えます。

企業を取り巻く環境は大きく変化しています。国内においては経済の成熟化や少子高齢化に伴う市場の停滞・縮小、労働力不足がますます深刻化していく中で、経営ガバナンスの強化や価値観の多様化、ESG経営が強く求められる状況にあります。国外においてはウクライナ情勢により一変した国際社会の分断や自国中心主義の高まりが原材料高をはじめ、国際経済に深刻な影響を及ぼしつつあります。

すでに策定された中期経営計画については、これらを着実に遂行し企業価値を高め「総合力企業」をめざしていくことが、さまざまな環境変化に対応していくことにつながると確信しています。

「企業は人なり」、社員の方々が各々の役割の中で既成概念にとらわれず、現場、現物、現実をしっかりと確認し、迅速に対応していくことが何より大切であり、経営面でも人財投資を惜しまず実践していくべきです。幹部も含め全員が相互のコミュニケーションを高めながら企業価値を高めていってもらいたいと思います。

私自身も経営幹部や社員の方々と接する機会や現場把握を通じ、持続的に成長する西松建設をめざして遂行すべきさまざまな取り組みに可能な限り寄与していきたいと考えています。