Project 12

酸に強く、CO2排出量を
最大80%低減できる次世代コンクリートに挑む

高度経済成長期につくられた道路や橋。これら社会インフラが作られて半世紀が経過し、老朽化の問題が発生しています。中でも、下水道管に起因する道路陥没は、年間約3000件以上も発生しています。原因の一つは、下水から発生する酸。この酸がコンクリート製の下水管を劣化させているのです。そう、従来のコンクリートは、酸に弱いという弱点があります。

そこで、当社は、2010年に、その課題に立ち向かおうと、酸に強く劣化しないコンクリートの研究開発を開始、試行錯誤を繰り返しながら、試作品が完成しました。
材料には、産業廃棄物であるフライアッシュを使うことで、セメントで構造物を作る場合に比べ、CO2の排出量を最大80%削減できる、エコなコンクリートが出来上がったのです。
研究開発の成果の第一弾として、2011年にジオポリマーを用いた外構ブロックを製品化し、四国の小学校に採用。耐酸性にすぐれることから、世界的な温泉地別府市の排水溝等にも布設し、自然環境条件においても優れた耐酸性能をもっていることが確認できました。
2020年3月には、北九州市立大学高巣・陶山研究室、九州工業大学合田研究室、日本アイリッヒ㈱および㈱クレハと共同で、産業廃棄物として排出された発電由来燃焼灰の未燃炭素除去と粒度調整により高品位に改質できる独自の浮遊選鉱装置を開発し、改質燃焼灰を大量使用したセメントフリーなジオポリマーコンクリート二次製品を製造しました。

本技術は、産業廃棄物を積極的に使用し資源循環を促進できるとともに、従来のコンクリート製品よりCO2排出量を50%削減でき、建設材料分野における気候変動抑制に貢献できるものです。
2020年11月、この取り組みが、令和2年度気候変動アクション環境大臣表彰(環境省主催)「開発・製品化部門(緩和分野)」の環境大臣表彰を受賞、さらに、2021年7月には一般財団法人エンジニアリング協会から、商業的実用化が期待される先駆的技術の開発に顕著な功績のあったグループに贈られるエンジニアリグ奨励特別賞も受賞しました。社会の課題を解決できる企業として、社外のからの多くの評価を頂いております。
西松建設は、社会に役立つ次世代コンクリートのリーディングカンパニーとして、今後も、ジオポリマーの研究開発を積極的に進めて参ります。

発電由来燃焼灰の改質による超低環境負荷型コンクリート製品の実現

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