環境

自然再興 ネイチャーポジティブ

西松建設は、生物多様性保全のため設計段階での配慮および施工活動による直接的な影響を軽減、回避しネイチャーポジティブ(自然再興)に挑戦します。

生物多様性行動指針

2050年の自然共生社会の実現に向けて、2030年までに自然の損失を抑止し回復軌道(ネイチャーホジティブ:自然再興)に乗せるため緊急の行動をとることに賛同します。生物多様性保全の意義について、すべての役職員が認識・共感し、具体的な行動によりネイチャーホジティブに貢献します。
本指針により、生物多様性と事業活動を紡ぎ合わせ、企業理念である価値ある建造物とサービスで安心して暮らせる持続可能な社会をつくることに努めて参ります。

オリジナルガイドブック(生物多様性ガイドブック)

生物多様性配慮の普及と保全活動の実施を全社で推進するため、オリジナルの『みんなで守る生物多様性 できることBOOK』を作成し、活用しています。ガイドブックを通じて、設計や施工、オフィスにおいて保全活動を行い、生物多様性への負荷を軽減しています。

生物多様性に配慮した施工などの、取り組みを特定・実施

生物多様性保全の取組み事例

施工案件では、着工前に独自の「生物多様性ガイドブック」、「環境管理点検表」に基づく生物多様性に配慮すべき保全活動を特定し、事業活動における生物多様性への負荷軽減につながる施工を100%の実施率で行っています。

工事場所周辺に生息する生物に配慮した施工

山中の工事では、「工事仮設のカラーリング(アースカラー)」や「小動物の迂回路設置」など、工事場所周辺に生息する生物に配慮した施工も行っています。

工事仮設のカラーリング(アースカラー)
小動物の迂回路設置

河川工事における水生生物の遡上に配慮した施工

フロート式桟橋(手前)

河川工事では、耐震補強工事に伴う工事用道路を、盛土から下部に橋脚を必要としないフロート式桟橋に替えることで、盛土による河川水の汚濁防止、水生生物(ニホンウナギ、モクズガニ、鮎など)の遡上・降下ルート確保にも取り組んでいます。

フロート式桟橋下部イメージ

調整池堰堤工における希少生物に配慮した計画・施工

アズマヒキガエル産卵状況

調整池工事では、希少生物(アズマヒキガエル)の産卵場所が周囲に点在する工事において、産卵・成育時期に環境への影響が大きい作業(本堤掘削)を行わない計画・施工や、自然の形に近い産卵池(ビオトープ)の設置、産卵から成育を見守ることにも取り組んでいます。
仮設桟橋では、軽量で高強度の桁(プレガーター橋)の採用による杭の本数削減や、希少生物の生息域である沢への影響に対する配慮にも取り組んでいます。
この取組みでは、橋桁を設置する際に、沢部に仮設の構台を配置しない横取り架設方式としています。

工事用道路における生物の生息環境に配慮した施工

工事用道路では、新設時の法面に在来種の植物を植え付け、周辺地域の生き物が生息・成育(・生育)できる緑地の整備にも取り組んでいます。

法面における在来種の植栽

工事現場の照明における昆虫類等の生物への配慮

光の拡散を抑え昆虫類の誘引死滅を防止する対策として、工事用仮設照明のフード付ルーバー取付けにも取り組んでいます。

フード付ルーバーを取付けた照明

設計による生物多様性への配慮 ~JHEP認証※(ハビタット評価認証制度)の更新と評価~

当社が運営する「慶應義塾大学日吉国際学生寮」において、2017年に生物多様性の価値評価に関するJHEP認証を取得しました。
当学生寮では、関東地域に自生する種苗を選定し、鳥の飛来、昆虫等の小生物の保全にも配慮し、周辺地域の環境と融和しながら地域本来の生態系保全を図っています。
生物多様性に配慮した設計・施工の継続的な有用性が評価され、再認証年である2022年にはAA+ランクとなり、都心における生態系ネットワークの重要な拠点となっていくことが期待されています。

  • JHEP認証(ハビタット評価認証制度 Japan Habitat Evaluation and Certification Program):事業を実施する前後で生物多様性の価値が同等または向上した取組みを、定量的に評価・認証する日本唯一の認証制度。
JHEP認証を更新した当社運営の慶應義塾大学・日吉国際学生寮

30by30 アライアンス

「生物多様性のための30by30アライアンス」は、2030年までに陸と海の30%の保全を目指す世界目標である「30by30」の達成に向けた、企業・自治体・団体の有志の連合です。当社は2022年より参加し、社有地の自然共生サイトの認定を目指します。

  • 自然共生サイト:民間等の取組みにより結果的に生物多様性の保全に貢献している区域(企業緑地、里地里山、都市緑地、社寺林など)を、環境省が自然共生サイトに認定。

「西松しおや共生の森」自然共生サイトに認定

2024年10月21日、当社の社有林(栃木県塩谷郡塩谷町)が、環境省より自然共生サイトとして認定されました。(サイト名称:「西松しおや共生の森」)

自然共生サイトとは、生物多様性保全に関する世界目標である『30by30』に直接的に寄与するため、同省が「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を認定する取り組みです。

西松しおや共生の森

「西松しおや共生の森」の特長

認定を受けた「西松しおや共生の森」は、栃木県塩谷郡塩谷町に位置し、1970年代から開発用地として取得を進めていた総面積34.6ヘクタールの社有林です。林縁を流れる水路や谷戸、湿地が揃った典型的な里地里山の環境にある森林となっています。 クリ-コナラ群集などの広葉樹、針葉樹の二次林を中心とした様々な植生があり、希少種を含め、植物、昆虫を中心に哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類の計226種の動植物が息づき、豊かな生態系が維持されています。また、年間約120トンのCO?を吸収・固定能力と、年間約30万?の地下水の涵養といった環境保全機能を有しています。 サイト名である「西松しおや共生の森」は、未来にわたり人と自然環境が調和を保ち、次世代に健全な環境を継承するとの思いをこめて命名しました。

今後について

当社はマテリアリティに「安心でき、活力がわく社会の実現」掲げております。その解決手段の一つである生物多様性保全おいて、事業活動を通して生物多様性への影響を回避・軽減し、豊かな生態系の場を維持・創出し回復軌道への転換を目指して、さまざまなアプローチを行ってまいります。

《参考》西松しおや共生の森(環境省 自然共生サイト)
リンクのPDFデータにて、当社の自然共生サイト「西松しおや共生の森」の詳細をご確認いただけます。
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/documents/nintei/R6first16_NishimatsuShioyaSymbioticForest.pdf

《参考》環境省 自然共生サイト
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/

サンゴ保全の取組み

豊かな生物多様性を育むサンゴ礁を取り巻く環境は大きく変化しており、その要因にサンゴの白化現象があります。
白化の原因の一つは地球温暖化による海水温の上昇と考えられています。
海域に関する生物多様性保全の一環として、国際サンゴ礁年2018オフィシャルサポーターに任命されたことを皮切りに、玉川学園との産学連携をはじめ、様々な主体と連携してサンゴの保全に取り組んでいます。

環境保全活動への参加

当社は、本社、支社、営業所において協力企業ネットワークであるNネットとの協力を通じて環境保全に貢献しています。
主な活動として、広瀬川流域などにおいての清掃活動や、琵琶湖周辺域においての葦刈り活動、また阿蘇水掛の棚田における水稲栽培を通じた農業保全など、多様な保全活動を実施しています。

阿蘇水掛の棚田における農業保全活動
琵琶湖周辺域の葦刈り活動
広瀬川流域における清掃活動

水資源

ネイチャーポジティブの一環として「水資源の保全」に取り組んでいます。
水資源の無駄な使用を削減し、事業による地域社会と環境に対する影響を最小限に抑えることを重視しています。

施工部門

施工現場は「水資源の保全」に関して「水資源の削減・有効利用」と「排水の適正管理」を重視して工事を進めています。

  1. 1水資源の削減・有効利用

    施工現場は場内の雨水・湧水を粉じん飛散防止のため散水車等にて利用し、雨水・湧水を効率的に利用しています。

    散水車の配置状況
  2. 2排水の適正管理

    施工現場において発生する排水は水質汚濁防止法をはじめとする関係法令を順守しています。現場は「ノッチタンク・pH計測器・中和剤」等の使用により、排水が基準に適合していることを確認し、定められた水域・下水等に放流しています。

    濁水プラント設置状況
    ノッチタンク設置状況

技術開発部門

様々な技術を開発し、適切な排水管理による水資源の保全に取り組んでいます。

  • トンネル排水ポンプ稼働監視パッケージ

    トンネル工事における労働生産性向上と迅速な排水管理を実現するため「トンネル排水ポンプ稼働監視パッケージ」利用を共同開発しました。
    https://news.tinkermode.jp/202210-tunnel-draining-package

    • 本技術は西松建設(株)、(株) sMedio、菅機械工業(株)、泰興物産(株)、MODE, Inc. の共同開発によるものです。
  • ノッチタンク式濁水処理装置

    天然ヤシ繊維を用いた環境に優しい濁水処理を開発しました。
    本処理施設は薬剤を使用しないため河川等への環境影響軽減に寄与し、高いろ過性能と省スペース化が図れます。
    https://www.nishimatsu.co.jp/solution/environment/00078.html

森林資源 ~持続可能な森林資源の利用と保全~

持続可能な森林資源の活用として、森林保全による水源涵養林の整備に取り組んでいます。
東京都水道局が水道水源林に設定したネーミングライツを取得し、「にしまつの森」と称して継続的に水源林の間伐作業を行っています。
協力会社と協働して2017年より森林保全活動を継続して実施しています。

オフィスにおいては、FSC認証等を取得したコピー用紙などを積極的に利用しています。