社会

人財戦略

人財を取り巻く環境の変化

人財を取り巻く環境は、人財獲得競争の激化や人財の流動性の高まり、働き方改革の推進、また近年においては人的資本経営への注目の高まりなど、目まぐるしく変化しています。とりわけ働き方改革については、2024年度から建設業界にも時間外労働の上限規制が適用され、大きな転換期となっています。外部の環境が激しく変化するなかで、新たな価値を創出し社会に提供し続けていくためには、多様な能力や価値観を持った人財を確保しエンゲージメントを高め、環境の変化に柔軟に適応できる人財を増やしていくことが課題です。

新たな価値を生み出し、社会課題を解決するのは人財

当社には、「多様な能力をまとめあげる力」という強みがあります。これは、長年にわたり、国内外の社会基盤整備事業を手掛ける中で得られ、培われてきたものです。この強みを基盤として、新たな価値の創出とともに社会課題を解決していくため、社員一人ひとりを「資本」と捉え、持続的に人財の価値を高めていく施策に取り組んでいます。具体的には、「西松-Vision2030」および「中期経営計画2025」で掲げた変革プログラムである、「意識・行動改革」「組織能力強化」「成長資源創出」の3つの枠組みに基づいて進めています。

人的資本向上のための主な取り組み

多様な人財の確保と活躍推進

人財獲得競争が激化し、人財の流動性が高まるなかで、多様な人財を確保し、あらゆる人財が活躍できる環境を整えていくことは重要かつ喫緊に取り組むべき課題と捉えています。
人財の確保については、2023年度からリクルーター制度、2024年度からアルムナイ採用、選考経験者優遇採用を導入し、採用体制を強化しました。また、フレックスタイム制度や在宅勤務制度、仕事と育児の両立支援制度など多様な働き方を可能にする制度の導入のほか、総労働時間の削減にも取り組んでいます。
活躍推進については、社員一人ひとりの能力を最大限活かすために、データに基づくマネジメントへの変換が必要と考え2021年にタレントマネジメントシステムを導入しました。社員が持つ能力や経験、価値観、キャリア志向を可視化し、併せて社員の強み・弱みを客観的なデータとして蓄積することで、人財の最適配置や育成の効率化に寄与し、個人と組織のパフォーマンス向上につながると考えています。

社員エンゲージメント向上

人財の定着と活躍に向けた課題を抽出することを目的に、エンゲージメント調査をしています。トータルエンゲージメントのほかに、「仕事」「職場」「会社」に対するエンゲージメントを個別に測定しています。詳細に分析された結果から得られた課題については、個別に要因を推定対策を講じていくことで、エンゲージメントの早期向上を目指しています。

2023年度エンゲージメントスコア
  
トータルエンゲージメントスコア(支社採用社員、派遣社員除く)
3.67 仕事 職場 会社
3.67 3.76 3.61

挑戦者意識の醸成

社員の挑戦者意識を高めるために、「西松-Vision2030」の共有と社員一人ひとりの心理的安全性を高め、積極的かつ安心して意見を出し合える風土の醸成に努めています。施策の一つとして、2023年度から、社長が国内外の各拠点に赴き「社員との対話」を始めました。2023年度は、次世代のリーダーとなる管理職登用前の年代を中心に967人との対話を実施しました。
今後、社員の挑戦心をさらに喚起していく施策として、上司部下間の対話の拡充や挑戦的行動を促すための研修、さらに人事考課で挑戦的行動に対する評価のウエイトを高めるなどの仕組みをつくっていきます

連携意識の醸成

これまで各事業の有機的連携を推進するため、全社目線かつ組織横断的な人財配置を検討する「組織・人財検討会議」を開催してきました。連携事業の推進という観点から見ると一定の効果はありましたが、社員全体への連携意識の浸透という点では、まだ道半ばと言えます。
「西松-Vision2030」で掲げる社会機能の再構築を推進するには、事業間連携が不可欠です。連携事業に携わった社員に対する評価の仕組みや表彰制度、社内横断的に人財を募集する社内公募制度の整備など、組織の垣根を越えて連携する意識の醸成にむけ、取り組みを加速させていきます。

自律的に学ぶ仕組みの構築

高い技術力の養成と広い視野を持って社会の変化に対応できる人財の育成を目的として、社内の人財育成体系である「西松社会人大学」を2019年度に設置し、内容の拡充を図ってきました。
これまで整備してきた研修のほとんどは階層別教育を主体としたものであり、決められたカリキュラムを決められた時期に、対象となる社員だけが受講するものでした。結果として社員の多くは受け身の傾向にあったため、自発的に学ぶ意識への転換が課題となっています。
意識を変えるには、社員一人ひとりが自らの「ありたい姿」を描き、それを実現するためのスキルや知識を獲得できる環境が必要だと考えています。上司部下間の対話などを通じてありたい姿を引き出すよう努めると同時に、従来の階層別研修のほかに、カリキュラム選択研修を加えることで、多様な学習コースや学びの場を用意し、個々の社員がその中から自由に選択できるような環境を提供していきます。

人財データ
(単位) 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
従業員数(人) 2,762 2,794 2,804 2,892
内、男性(人) 2,388 2,404 2,419 2,482
内、女性(人) 374 390 385 410
平均年齢(才) 44.4 44.4 44.7 44.7
内、男性(才) 45.2 45.0 45.3 45.3
内、女性(才) 39.6 40.7 40.7 40.8
平均勤続年数(年) 18.3 18.0 18.3 18.1
内、男性(年) 19 19.3 19.6 19.3
内、女性(年) 10.5 9.8 10.4 10
外国人総合職数(人) 8 9 10 16
(単位) 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
新卒採用数(人) 106 115 115 113
内、男性(人) 85 95 95 94
内、女性(人) 21 20 20 19
中途採用数(人) 20 14 20 29
内、男性(才) 19 11 15 23
内、女性(才) 1 3 5 6
現場の閉所データ
(単位) 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
4週7閉所割合
(土木現場)(%)
65.4 63.5 77.1 85.0
4週7閉所割合
(建築現場)(%)
65.4 61.1 64.5 61.9