タブレット端末による「CFT柱コンクリート施工管理システム」を開発
お知らせ2023年02月21日
~現場技術者によるコンクリート施工管理作業の省力化・省人化を推進~
当社は、コンクリート充填鋼管柱(以下CFT柱)に関する施工管理の省力化・省人化を図ることを目的として、コンクリート充填中に計測したデータをクラウド上で処理し、タブレット端末上の画面に表示させて施工状況を可視化するシステムを開発しました。タブレット端末上で施工状況を可視化することで、現場技術者が現場内・現場事務所のどこにいても施工状況を確認することが可能となります。また、無線タイプのレーザー距離計を用いてコンクリートの充填速度を計測管理することで、計測に伴う配線の盛替え作業が軽減されます。さらに、クラウド上に保存された施工データから、施工報告書を自動作成します。本システムを使用してCFT柱におけるコンクリートの施工管理の省力化・省人化を図り、現場技術者の生産性向上を実現します。
■ 開発の背景
CFT造(Concrete Filled steel Tube:コンクリート充填鋼管構造)は、円形または角形の鋼管にコンクリートを充填させて柱にする構造で、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄骨造(S造)に続く第四の構造と呼ばれています。CFT柱は、断面は小さくても強靭で、空間をより広く高く利用でき、自由で伸びやかな空間が実現できるため、主に事務所ビルに適用される構造になります。一方、CFT柱を施工する際は、鋼管内にコンクリートを均一・密実かつ隙間なく充填する必要があるため、その管理に多大な労力・時間を要し、現場技術者の大きな負担となっています。
■ システム開発の目的および概要
CFT柱の施工管理を行うのにあたって、主に現場技術者の負担となっている作業としては以下の3点が挙げられます。
柱の施工が 切り替わるごとに、配線の盛替え作業が発生。
これらの作業を効率化させることを目的に、システムの開発を行いました。
本システムは(図1)、レーザー距離計やタブレット端末等で構成されます。CFT柱のコンクリート充填中の高さを計測する機器として、無線通信によりデータを送信できるレーザー距離計を柱の頂部に取り付けます(写真1)(レーザー距離計を設置する治具は、現場の規模・柱の形状問わずに設置することができるよう、汎用性を高めています)。また、鋼管に作用する圧力を計測するため、フラッシュダイヤフラム型圧力計を鋼管柱に取り付けた圧送配管上に取付けます(写真2)。それぞれの機器により計測したデータは、PC~LTE通信~インターネットを介してクラウドに送信し、クラウド上で処理され、システムの画面上に反映されます(図2)。コンクリートを充填する前に、あらかじめ鋼管柱の部材情報(柱サイズ・板厚、ダイアフラム枚数・位置)や充填するコンクリートの情報(呼び強度、調合等)をシステムに登録しておくことで、施工時に計測したデータと連動して、システムの画面上にコンクリートの充填状況や鋼管に作用する圧力とその許容値の関係を表示することが可能となります。そのため、施工場所に常駐していなくても、現場内・現場事務所どこにいても施工状況を確認することが可能であることから、ほかの業務に時間を費やすことができます。
また、無線タイプのレーザー距離計を選定しているため、配線が少なく、システムで使用する機器類をコンパクトに収納できます。これにより、中継するPCの移動も減り、次の柱を施工する際の機器の盛替え作業も容易になるため、現場技術者の負担を軽減できます。
さらに、全柱のコンクリート充填が完了した後、コンクリートの受入検査結果を本システム上に入力し、システム上の帳票出力をクリックすると、施工した全ての柱の施工報告書が自動作成されます(図3)。
■ 導入による効果
本システムにより、
1)タブレット端末上での施工状況の可視化による施工管理業務の省人化
2)コンクリート充填速度管理の無線化による計測作業の省力化
3)施工報告書の自動作成による現場技術者の生産性向上
を実現することができます。
■ 今後の展開
今後は、全国のCFT造現場において本システムの導入を進め、機能追加や操作性の改善等を行い、現場技術者の生産性向上に努めていきます。
■ 参考資料
図1 本システム構成図
写真1 充填高さ計測機器設置状況