「中大規模木造建築物の実現」に向けたプロジェクトを開始
お知らせ2023年11月15日
~日本建築センター評定取得構法「P&UA構法」実プロジェクト第1号への取り組み~
当社は、「中大規模木造建築物の実現」に向け、10階建て共同住宅のモデルプランで一般財団法人日本建築センターから評定を取得した「P&UA(※1)構法」を採用し、実プロジェクト第1号への取り組みを開始しました。
本構法は、株式会社市浦ハウジング&プランニングを代表とする「P&UA構法共同技術開発グループ」(※2)との共同研究開発により、昨年10月に評定を取得した構法であり、実プロジェクトへの適用は、同研究開発グループでは初の取り組みとなります。
■プロジェクト概要
本開発構法を適用する実プロジェクト第1号は、当社と木造建築の業務提携を結んでいる伊藤忠商事株式会社で推進している「川崎市宮前区小台2丁目計画(2023年11月15日着工予定)」であり、神奈川県川崎市に木造5階建ての耐火建築物である寄宿舎を建設するプロジェクトになります。
本プロジェクトは、住宅・建築物の木造化に係る先導的な技術の普及啓発に寄与するものとして、「令和5年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されました。
構造計算ルートには、保有水平耐力計算・ルート3を適用し、開放性が求められる桁行方向を木造ラーメン構造とし、戸境壁を有する梁間方向を耐力壁構造としています。
P&UA構法適用第1号 川崎市宮前区小台2丁目計画の完成イメージ
■先導的な木造化への取り組み
木造ラーメン構造の柱梁接合部には、新たに開発した「GIUA(アンボンド範囲を設けた鋼棒挿入接着接合)(※3)」を適用して、パネルゾーンの鉄骨部材と連結し、木材割裂を防ぎ粘りのある接合部としています。
耐力壁構造には、新たに開発した「シアリングコッター耐力壁」を適用し、地震時に上下の木質パネル間に設けたコッターが変形することで粘り強い構造としています。
木材は国産材を活用し、木造ラーメンを構成する柱および梁には、スギ・ヒノキ構造用集成材を、耐力壁には、ヒノキCLT(Cross Laminated Timber)を使用しています。
防耐火面では、1階部分の柱及び梁に、本年4月に施行された90分耐火構造の木造の耐火仕様を採用しています。
左:P&UA構法架構イメージパース / 右:新技術「GIUA」概要図
左:1方向ラーメン、1方向耐力壁架構の構成 / 右:柱・梁ラーメン架構接合部の構成
(※1)Panel & Unbonded Anchorの略称
(※2)技術開発者:㈱市浦ハウジング&プランニング、㈱織本構造設計、東急建設㈱、東レ建設㈱、戸田建設㈱、西松建設㈱、㈱長谷工コーポレーション、三井住友建設㈱
共同研究者:京都大学 五十田教授、近畿大学 松本教授、広島県立総合技術研究所林業技術センター
協力者:アルファ工業㈱、内田技建、㈱ウッドワン、エイコー㈱、㈱河本組、桜設計集団、ジャパン建材㈱、㈱中東、藤田K林産技術士事務所、銘建工業㈱ (以上、五十音順)
(※3)Glued in Unbonded Anchorの略称
■今後の展望
本プロジェクトにおいては、竣工後においても複数のモニタリング・検証を行う計画としており、今後、本開発構法の更なる開発・改良、次なる実プロジェクトへの適用検討を進めていきます。
■物件概要
用途 :寄宿舎
建設地 :神奈川県川崎市宮前区小台2丁目
階数 :地上5階、地下0階
高さ :14.83m
建築面積 :700.97㎡
延べ面積 :2,387.68㎡
防耐火用件:耐火建築物(1階:90分耐火構造、2~5階:1時間耐火構造