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コンクリートの初期強度発現性を改善したポンプ圧送助剤を開発

お知らせ2023年12月04日

暑中環境下で1,000m を超える長距離圧送施工に成功

 当社と戸田建設()(社長:大谷清介)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ()(社長:吉武 治)、()北斗工業(社長:山口次郎)は、ポンプ車によるコンクリートの長距離圧送の際に使用するポンプ圧送助剤(以下、圧送助剤)を共同で開発しました。本開発品は、施工現場においてアジテータ車に添加・撹拌することにより、コンクリートの初期強度の発現を大幅に遅らせることなく、圧送性を確保することができます。4社は、この度、本開発品を用いて圧送距離1,000m(水平換算距離)を超える長距離圧送施工を実施し、その効果を確認しました。


231204_r01.png写真-1 長距離圧送施工の状況、開発した圧送助剤ならびにアジテータ車への添加状況


■ 圧送助剤の概要
 本開発品は、従来の圧送助剤と同様、コンクリートの凝結遅延性を制御するとともに、コンクリート材料の分散性も制御することで、長距離での圧送性を確保しつつ、初期強度発現性が改善されていることが大きな特徴です。

本開発品のその他の特徴は以下のとおりです。

・ 解砕性のシートで包装した粉体系の圧送助剤のため、パック計量により容易にアジテータ車に添加・撹拌できます(写真-1)。
・本開発品の添加により、スランプが増加し、流動性の保持時間を延ばすことができます(図-1)。
・本開発品を添加した際の初期強度発現性が従来品と比較して大幅に改善されています(図-2)。

231204_r02.png左:図-1 本開発品添加前後のスランプの経時変化  / 右: 図-2 圧送助剤添加前後の圧送強度比


■ 長距離圧送施工の結果
 本開発品を用いて、圧送距離1,000m(水平換算距離)を超える長距離圧送施工を実施し、その効果を確認しました(写真-1)。今回の長距離圧送施工は、圧送条件の厳しい9 月初旬の暑中環境(最高気温35℃)での施工でしたが、本開発品の添加により、配管閉塞等の不具合もなく、筒先から排出された圧送後のコンクリートについても、流動性を大きく損なわずに、圧送を完了することができました(写真-2)。

231204_r03.png写真-2 スランプ試験状況(左:圧送助剤添加前 中:圧送助剤添加後 右:圧送後)


■ 今後の展望
 今後は、コンクリートの長距離圧送施工を伴う工事現場にて、施工条件にあわせて本開発品を適用することで、圧送後のコンクリート品質を確保し、良質なコンクリートを社会に提供していきたいと考えています。