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地中連続壁工法における安定液の品質管理自動計測システムの開発
お知らせ2024年03月22日
-現場で安定液(泥水)の粘性および比重を自動で連続的に精度よく測定-
当社は、株式会社三央(京都府京都市、社長:奥村浩二)と共同で、鋼製連壁やRC 連壁といった地中連続壁工法で使用する安定液の1つである泥水の品質管理に着目し、ファンネル粘度及び比重を現場で自動に連続計測できる「品質管理自動計測システム」を開発しました。
本システムの活用により、安定液の品質管理作業の省力化・省人化に加え、掘削時のトラブル防止や再生薬剤等の使用量および廃棄泥水量の削減に寄与できます。
■ 背景と技術概要
鋼製連壁やRC 連壁といった地中連続壁工法で使用する安定液の品質管理※は、比重、ファンネル粘度、造壁性、pH 等の各試験を毎日1~2 回実施して品質確保を図っています。各試験とも、現場技術者による試験のため、①測定者の違いにより試験結果に誤差が生じる、②すべての試験終了までに時間がかかる、③試験回数が限られてしまうため、掘削に伴い泥水性状が急激に悪化した場合等に対応が遅れてしまうなどの課題がありました。
そこで、安定液の品質管理項目を自動に連続計測できる「品質管理自動計測システム」を開発し、RC 連壁の施工現場に試験導入しました。その結果、安定液の品質管理項目であるファンネル粘度や比重を自動で連続的に精度良く測定できること、また従来と同等の試験結果(再現性)が得られること、無線で計測データをクラウド上に送信することで「いつでもどこでも」複数の管理者で安定液品質を確認することができることを確認しました。
※安定液は、地中に掘削した溝の崩壊防止等を担う役割を果たしており、その品質は地中連続壁の強度や止水性等の品質に大きな影響を与えるため、地中連続壁工法において泥水の品質を常時管理することは重要です。
■ 品質管理自動計測システムの特長
1)省力化・省人化、品質維持に寄与
本システムは、細管式粘性測定装置および密度計等から構成されています。ファンネル粘度は、①細管式粘性測定装置の細管に循環槽から安定液を一定流量で連続供給、②細管前後の圧力を測定し差圧を検出、③手動で予め測定・把握済みのファンネル粘度と差圧の関係式から算出されます。
また、比重も循環槽内の安定液を密度計により自動で連続的に計測できます(図-1,写真-1)。これら一連の測定により、安定液の品質維持に寄与できます。
2)遠隔監視が可能
ファンネル粘度と密度計(比重)の結果は、計測PC の画面に表示されます(図-2)。また、時系列グラフの表示も可能で、現場事務所など試験場所と離れた場所でも見ることができます(図-3:例としてファンネル粘度)。
3)測定結果の精度が向上
測定者の違いによる試験結果の誤差がなく、測定結果の精度が向上します。
■ 今後の展開
本システムで計測した各種試験結果を、現在開発中の「安定液品質管理ソフト」と組合せることにより、安定液管理の経験が浅い職員でも、簡易に安定液品質の良否等を評価できるようになります。
また、本システムは、安定液(泥水)を使用する場所打ち杭や泥水式シールド工法における品質管理への適用も可能なことから、両工法への展開も目指しています。
図-1 品質管理自動計測システム概要図
写真-1 細管式粘性測定装置(現場設置時)
図-2 計測画面(計測PC 画面)
図-3 計測結果(時系列グラフ)例/計測PC 画面