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梁の端部に開孔を設けることが可能となる構法の開発

お知らせ2024年03月27日

-下がり天井の縮小化による設計自由度の向上-


 当社は、鉄筋コンクリート造(RC造)の建物を対象に、梁の端部に開孔を設けることで、下がり天井の縮小化により設計自由度を向上できる技術を開発しました。

■背景
 RC造の集合住宅などにおいては、天井高を確保するために換気などの設備用配管を梁に貫通させて設けることがあります。従来のRC造の柱梁を主体とした構造形式では、大地震時において主に梁の柱際で変形・損傷させることで大地震時のエネルギーを吸収するよう計画するため、梁を貫通する開孔は柱際から梁せい(梁の下面から上面までの高さ)以上離して設ける必要があります。そのため、その開孔を通る配管を隠すための下がり天井も柱際から梁せい以上せり出し、室内空間を圧迫することがあります。

■詳細
 本構法は弊社が開発したRC造建物の柱梁接合部のプレキャスト化率を向上できる「アジャストビーム構法」※1に適用したヒンジリロケーション(以下、HRと称す)と呼ばれる技術を採用しています。接合部内および柱際から継手部分にかけて高強度の鉄筋を用い、主筋の本数を増やすことで、梁端部の接合を補強します。従来は大地震時に梁端部で生じていた変形や損傷が生じやすい降伏ヒンジの位置を柱際から離すことができます。この降伏ヒンジの移動により、変形・損傷を抑制した梁端部に開孔を設け、下がり天井を縮小化することができ、設計自由度を向上できます。
本構法は、静岡理工科大学丸田誠教授の指導のもと、多数の構造実験および解析的検証により耐震安全性を確認し、これらを基に本構法の構造設計法を確立しました。

※1 アジャストビーム構法:https://www.nishimatsu.co.jp/news/2020/post_16.html

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図1 従来構法およびHRを適用した本構法


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写真1 十字形骨組実験の状況
※通常設計で検討する変形量の4~5倍程度


■今後の展開
 自社の設計施工物件に対して積極的に活用し、快適な居住空間の創出による建物の価値向上に貢献していきます。