粗骨材に回収骨材を100%使用したコンクリートを
施工中の建設現場に適用
お知らせ2025年01月29日
-生コン工場の廃骨材を粗骨材としてフル活用-
当社は、資源循環型社会の構築を目指し、生コン工場で発生する回収骨材を100%使用したコンクリートを粗骨材として、当社施工中の建設現場に適用する取り組みを行いました。
■ 背景
建設現場にて出荷後、使用されずに生コン工場に戻ってくるコンクリート(通称“残コン・戻りコン”)の量は、日本全国で総出荷量の3%~5%にあたり、約2.1~3.5万m3 ※1と言われています。
一般的に、建設現場では数量通りの生コン打設が難しく、少し余分にコンクリートを発注することから、多くの残コン・戻りコンが発生しています。当社においても、コンクリート打設数量予測システムの開発※2やBIMの活用を行い、残コン・戻りコンを減らす取り組みを講じているものの、残コン・戻りコンをゼロにすることは難しいのが現状です。
そこで今般、一般社団法人生コン・残コンソリューション技術研究会(以下RRCS)に参画し、残コン・戻りコンの有効活用の一策として、回収骨材に着目した取り組みを行いました。
■ 回収骨材とは
回収骨材とは、残コン・戻りコンを洗浄して回収した骨材です。通常の骨材と見た目は変わらず、強度などの物性においても違いはありません(写真1・2)。回収骨材の使用方法は、生コンクリートの製造に関わるJIS(JIS A 5308(ミクストコンクリート))に規定されており、置換率5%もしくは20%を上限として建築物の基礎や主要構造等への使用が認められています。しかし、回収骨材をあえて使用するメリット、需要がないことから、回収骨材を標準化している生コン工場は日本全国に少なく、あまり普及しておりません。最終的に使用されない回収骨材は、産業廃棄物として処理されます。
■ 取り組みの概要
通常、建築物の基礎や主要構造部に用いられるコンクリートは建築基準法第37条に定められた指定建築材料であることから、①JIS A 5308に適合するもの、もしくは②大臣認定を受けたもの、にしなければなりません。しかし、建設現場で仮設的に使用する捨てコンクリートや主要構造部材ではない土間コンクリートについては、必ずしも①や②に適合させる必要はありません。そのため、使用する部位によっては、回収骨材を全て使用することができ、今回の取り組みでは回収骨材を粗骨材として100%使用しました。
■ 回収骨材を使用したコンクリートの性状
粗骨材として回収骨材を100%使用したコンクリートは、フレッシュ性状・圧縮強度共に通常の骨材を使用したベースコンクリート(設計基準強度Fc18、スランプ目標値15cm±2.5cm)と同等の結果が得られました。(スランプ:16.5cm、材齢28日強度:24.9N/mm2)
■ 今回の取り組みによる環境に対する効果
今回の取り組みにより、学校法人玉川学園様、株式会社久米設計様のご理解、ご協力のもと2024年7月~11月の間に、約300m3の捨てコンクリートを打設しました。今回の配合では生コン1m3あたり約900kgの粗骨材を使用しますので、廃棄予定の粗骨材を約270t再利用することができました。
■ 今後の展望
当社は、資源循環型社会を構築するため、今回の取り組みのテーマである回収骨材が建築主や設計事務所、施工会社に幅広く認知されるよう、また、当技術を含めた環境配慮に対する様々な知識や技術を積極的に提案・展開を行い、環境負荷低減に取り組んでまいります。
※1 ZENNAMA統計情報の2023年総出荷量約7000万m3から試算。
※2 当社ニュースリリース「コンクリート打設数量予測システムを開発」2020年
https://www.nishimatsu.co.jp/news/2020/post_5.html