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アルカリ活性材料コンクリートを現場打ち施工に初適用

お知らせ2025年02月17日

~独自のアルカリ溶液配合による使いやすさの向上とCO2排出削減への貢献~



 当社はこのたび、国立大学法人東北大学(所在地:宮城県仙台市、総長:冨永悌二)、JFEスチール株式会社(本社:東京都千代田区、社長:広瀬政之)と共同で、現場打ちでの施工性を高めた、セメントを使わない「アルカリ活性材料コンクリート(以下、AAMコンクリート※1)」を開発し、初めて鉄骨柱の保護コンクリート補修工事に適用されました。今回の工事において、アルカリ活性材料コンクリートが、一般的なコンクリートと同じように運搬・打ち込みが可能であり、常温環境下でも十分に強度を発現することが確認できました。


 AAMコンクリートは、製鉄所で発生する副産物の高炉スラグ微粉末を粉体に使用し、アルカリ溶液で硬化させたコンクリートで、一般的なコンクリートに使用される、普通ポルトランドセメント※2を使わないため、製造時におけるCO2排出量が一般のコンクリートよりも7割ほど少なく、環境に優しい建設材料とされています。しかし、粘性が高い上、製造してから1020分ほどで流動性を失って固まり始めるため、運搬や打ち込み作業に時間を要する施工には適しませんでした。


 そこで当社が所属する研究チームは、アルカリ溶液の成分比率や配合を独自に調整することで、施工に適した流動性と可使時間の保持を実現しました。また、一般的なコンクリートは強度を発現させるために事前に加温する必要がありますが、共同開発したAAMコンクリートは、常温環境下でも一般的なコンクリート並みに強度を発現し、現場打ちでの施工に成功しました(1)。また、AAMコンクリートの現場までの運搬は、車両型ミキサでもアジテータ車でも可能となっています。

今回開発したAAMコンクリートの特徴
  1. 1施工がしやすい
    高い流動性を有しており、打ち込み作業を効率的に行うことができます(図2)。
  2. 2可使時間が長い
    独自のアルカリ溶液を用いた配合により、製造後も2時間以上流動性を保持できるため、現場打ちでの施工に適用できます(図3)。
  3. 3常温で下で高い高い強度発現性
    現場の施工環境(平均気温13~23℃ほど)でも強度は十分に発現し、一般的なコンクリート(普通ポルトランドセメントを使用)と同等の強度発現性を有しています(図4)。

 当社は、今後ともカーボンニュートラル社会の実現に寄与する技術開発に注力し、社会全体のCO2排出量削減に寄与していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
  • ※1 アルカリ活性材料コンクリート(AAMコンクリート)
    高炉スラグ微粉末やフライアッシュなどの粉体、水酸化ナトリウム(NaOH)などのアルカリ溶液、細骨材および粗骨材を用いて固化させるコンクリートの総称。アルカリ活性材料は英語でAlkali Activated Materialであり、AAMと略される。アルカリ活性材料コンクリートとして、現在主に研究されているのはジオポリマーコンクリートであり、メタカオリンやシリカなどの粉体と水ガラスを用いて固化させるもの。
  • ※2 ポルトランドセメント
    石灰石や珪石などの原料を粉砕・焼成して製造されるコンクリートの原料。



【図1】開発したアルカリ活性材料コンクリートでの鉄骨柱の保護コンクリート補修工事の様子

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【図2】流動性に優れたAAMコンクリート
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【図3】開発したアルカリ活性材料コンクリートの流動性
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【図4】現場環境下におけるAAMコンクリートの圧縮強度
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