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床板撤去時間の高速化と省力化施工を実現

お知らせ2025年02月21日

-床版撤去における作業時間を約15%短縮-

当社とコンクリートコーリング株式会社(東京都練馬区、社長:小澤純)は、既設床版の撤去を高速化するための技術「自動水圧制御システム」を開発し、実大供試体で施工速度等の検証を行いました。
その結果、合成桁床版の撤去作業の高速施工を可能とし、省人化、省力化施工を実現しました。

■ 開発の背景

高速道路では、リニューアル工事として橋梁の床版の取替工事が各地で行われています。
特に既設床版の撤去作業は、床版取替工事の施工サイクルの中で多くの時間を占めており、施工の効率化や高速化が求められています。このような状況の中、当社はこれまでに合成桁形式の急速撤去工法として「板ジャッキ」を用いた切断撤去技術の開発を進めてまいりました。

■ 新たに開発した技術 水圧制御ユニット(図1

  • 水圧制御ユニット(4分岐×2)は、水圧ポンプと板ジャッキの間に配置します。分岐部には、水圧の減圧を検知した場合にバルブを閉める電磁弁を配置しました。これにより、ひび割れが発生した際に、送水を自動停止することを可能としました。
  • すべてのバルブが閉じたことを検知後、自動的にすべてのバルブを開放し、再送水するプログラムを構築しました。これにより、床版と主桁を均等にリフトアップ・破断できます。
  • 水圧制御ユニットの操作は、別途開発したタッチ式操作盤にて行います。タッチ式操作盤は、施工箇所から最大30m離れた位置でも操作可能です。

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図1 水圧制御ユニットの概要

■ 実大実験の検証(図2、図3)

今回開発した各技術の性能を検証するため、主桁を含めた模擬合成桁床版を製作し、実際に板ジャッキを使用して、床版と主桁間の実大切断実験を実施しました。
製作した模擬床版は、2桁間の合成I桁床版床版厚:170mm、橋軸方向:4.9m、主桁間隔3.2)
とし、床版と主桁の接合には馬蹄形ジベル筋を350mm間隔で配置しました。床版の撤去ブロック長は、実施工での撤去延長と同等となる2.45mとしました。

【実大実験結果の概要】
  • 今回製作した模擬床版を主桁と分離させるため、板ジャッキを8枚同時に使用した。
  • 今回開発した水圧制御ユニットを導入したことで破断状況を制御でき、主桁や板ジャッキに不具合を与えることなく破断することができた。
  • 自動水圧制御システムを導入したことで、作業人数の省人化を図れることが確認できた。
    本装置導入前の作業人数:5名
    本装置導入後の作業人数:2名(桁下の監視なし)
  • 切断後の主桁部の残コンクリートは、従来工法に比べて約40%削減が可能となり、主桁上のはつり作業を低減できた。結果、床版撤去における作業時間を約15%短縮可能とした。
250221l_im02.png図2 板ジャッキを用いた切断撤去の実験状況(板ジャッキ加圧完了)

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図3 実験状況

■ 今後の展望

今後は、今回開発した板ジャッキを用いた切断撤去技術を実際の床版取替工事に適用するとともにさらなる高速施工化や車線規制の早期解除を実現するための技術開発を進めてまいります。