山岳トンネルデジタルツインプラットフォームの構築
お知らせ2025年06月25日
ー バーチャル 空間から トンネルを 掘削 ー
当社は、山岳トンネル工事 において、建設現場全体の現在状況をリアルタイムにバーチャル空間上に再現する、山岳トンネルデジタルツインプラットフォーム※1を構築しました。 本システムはトンネル切羽で掘削作業を行っている重機の位置・姿勢、稼働状況、環境データ、設備稼働状況、作業員のバイタルデータなどをリアルタイムに統合し、現場全体を俯瞰的に管理することを可能とし、トンネル工事の効率化、安全性向上および生産性向上を実現します。
図1 山岳トンネルデジタルツインプラットフォーム
■ 開発の背景
山岳トンネル工事では 、地質条件の不確実性に起因する切羽崩落や突発大量湧水、狭隘な空間内での大型建設機械と作業員の輻輳作業による衝突・巻き込まれ などの災害発生リスクが潜んでいます。また、騒音、振動、粉塵、高温多湿などの過酷な労働環境、高齢化や若手の入職者減少による人手不足などが深刻な問題となっています。これらの課題に対応するため、当社は以前より山岳トンネル無人化・自動化施工システム「 Tunnel RemOS 」の開発を進め、遠隔操作による安全性向上 、生産性向上に注力してまいりました。
また、広範囲にわたって複数の工種が同時に進行する山岳トンネル工事において、少ない現場技術者で現場全体の施工管理を行うには限界があり、AIやIoT技術を活用した効率的な安全管理、工程管理、材料管理等が求められていました。
このような背景から、トンネル切羽で掘削作業を行っている重機の位置・姿勢、稼働状況、環境データ、設備稼働状況、作業員のバイタルデータなどをリアルタイムに統合し、現場全体を俯瞰的に管理することができる、 山岳トンネルデジタルツインプラットフォームの構築を進めてまいりました。
■ プラットフォーム の概要
山岳トンネルデジタルツインプラットフォームでは、フィジカル空間(現場)で取得した環境データ、設備稼働状況、作業状況、作業員の位置やバイタル情報などを、IoTゲートウェイを介して専用クラウドにリアルタイムに収集します。これらのデータと「 Tunnel RemOS 」で得られる重機の位置や姿勢、走行速度などのデータをバーチャル空間上で統合し、リアルタイムに可視化することで、遠隔地からでも現場全体を把握することが可能となります。さらに、専用クラウドに収集された各種データをAI が監視・分析することで通知・警報を発信し、現場技術者の負担軽減、省力化、効率的な現場管理を実現します。
■ デジタルツイン プラットフォーム のメリット
1.安全性の向上
- 重機や作業員の位置や稼働状況をリアルタイムで把握し、アラートを出すことで衝突や巻き込み事故を防止できます。
- 作業員のバイタルデータを監視することで、健康状態に応じた適切な対応が可能となります。
- 環境データ(振動、騒音、粉じん濃度、温湿度など)のモニタリングによる過酷な労働環境の改善を促します。
2.効率的な現場管理
- 現場全体を俯瞰的に把握することで、現場管理の省人化、効率化が可能となります。
- 設備の稼働状況、資材の在庫等を可視化し、無駄のない現場 運用を実現します。
- AIによるデータ監視・ 分析により、異常発生時の警報をリアルタイムで受信できます。
3.生産性の向上
- 遠隔地からの監視と管理が可能となることで、現場技術者の移動負担を軽減し省力化を実現します。
- 複数現場を一括管理することで、本社・支社・技術研究所等からの支援をより効率的に行うことが可能となります。
■ 今後の展開
今後は、実現場にデジタルツインプラットフォームを適用し、発破後のズリ形状や掘削形状などの空間情報を基に最適な施工シミュレートをバーチャル空間上で実施し、その結果を現実の「 Tunnel RemOS 」にフィードバックして重機を制御 することで山岳トンネル工事の完全自動化を実現するための取り組みを続けていきます。また、現場のあらゆるデータを デジタルツイン上に完全再現することで、直接現場に行くことなく遠隔地から現場を管理することを目指します。
なお、現在は山岳トンネル工事を対象としていますが、今後はダム、造成工事等他の土木工事にも適用範囲を拡大する予定です。
- ※11 山岳トンネルツインプラットフォームの紹介を下記、 動画にて説明しております。
https://youtu.be/dq105zdi5Qs
以下参考図

