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自動充電ポート付きドローン活用により
遠隔で立坑内を「デジタルツイン」化

お知らせ2025年11月05日

~面的誤差 ±20 mm の高精度測量を達成し、測量作業の変革に挑戦~

当社と五洋建設株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:清水 琢三)、およびKDDIスマートドローン株式会社 (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:博野 雅文)は、人手による測量が困難かつ負荷の高い「立坑(たてこう)」という特殊な施工環境において、短時間かつ高頻度で現場全体を記録できる自動充電ポート付きドローンを活用し、3次元測量を実施しました。この取り組みの結果、周期的な飛行による土量変化の把握(進捗管理)と出来形測量を重ねることで、GNSS1信号下の深部の施工箇所において、誤差±20mmという高精度な出来形データを取得することに成功しました。

■背景と目的
従来、立坑における連壁内面の出来形測量は、測量機器を用いて作業員2名で約2時間を要していました。また施工サイクル上、昼間の測量ができない場合は夜間に実施していました。そのため、以下のような課題が生じていました。

  • 精度の課題:面ではなく点でしか測量できないため、立坑が深くなるにつれて精度確保が困難となる

  • 安全性の課題:深度に応じた昇降や高所作業が不可避で、安全対策コストが高い
  • 効率性の課題:21組での作業や前述のように夜間作業が必要で、多くの時間と労力がかかる

これらの課題を解決し、測量作業の時間短縮と省人化を実現するため、自動充電ポート付きドローンを現場内に常設し、ドローンの遠隔測量を実施しました。


1105p01.jpg左:<現場に常設された自動充電ポート付きドローン(DJI Dock 2> 、右:<ドローンが飛行中に撮影した立坑内の映像>


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<立坑内部と地上部を含む自動飛行ルートと測量範囲>



■今回の成果

今回の成果
精度 誤差±20mmの面的な高精度測量を実現。3Dデータで詳細な形状を把握可能としました。
安全性 立坑内のドローンによる無人測量で危険作業を削減、安全性が大幅に向上しました。
効率性 ドローンの周期的な自動飛行によって測量時間が約15分となり、従来の測量方法から約1時間45分短縮するとともに、作業人員が1名となり、作業人員の最小化 (= 省人化) を実現しました。


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<ドローンで撮影した写真をもとに作成した立坑の3Dデータ>

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左:<ドローンで測量した立坑連壁の3Dデータ>、 右:<ドローンで取得したデータから作成した立坑の断面図>



■今後の展開
本取り組みでは地下空間で減衰するGNSS1信号下でもドローンを安定飛行させ、面的誤差±20 mmの高精度出来形測量を実証しました。また今後、立坑の掘削が進むにつれ、GNSSが完全に遮断される深度へ到達することから、GNSS非依存で自律飛行できるドローンによる高精度な測量の継続的な実現可能性についても検証を進めてまいります。
本成果を礎に建設現場での安全性・生産性の向上と現場DXを加速し、建設業界全体における持続可能な施工管理モデルの確立に貢献してまいります。

  1. ※1GNSSGlobal Navigation Satellite System):人工衛星を利用して地球上の正確な位置を測定するシステム。カーナビや地図アプリ、ドローンの飛行制御など幅広い用途で利用されている。