シールド坑内測量システム「わんワン測量™」を開発
お知らせ2026年06月12日
-狭隘な坑内での掘進管理測量の無人化を実現-
当社と、株式会社奥村組(大阪市阿倍野区、代表取締役社長 奥村 太加典、以下「奥村組」)は、シールド工事の掘進管理測量において、既知点※1へのプリズム据付作業を自動化する測量システム「わんワン測量」を共同開発しました。
本システムは、坑内測量作業における既知点へのプリズム据付作業を、人による作業から4足歩行ロボットによる作業へと置き換えることで、当該作業の無人化を実現するものです。また、西松建設が開発した自動測量対応TS(トータルステーション)を活用した「遠隔測量システム」と組み合わせることで、掘進管理測量の完全無人化を可能とします。
■背景
建設業界では労働人口の減少を背景に、ICT などを活用した生産性向上の取り組みが急速に進んでいます。シールド工事においても、作業時間の短縮や省人化、品質・安全管理の高度化が課題となっており、掘進管理における坑内測量の自動化に向けた取り組みが求められています。
シールド工事の坑内測量は掘進作業終了後に行う必要があり、従来は作業員が坑内に入って手作業で行っていました。シールド坑内を長距離にわたり移動する必要があることから、作業時間が長くなり、作業員の残業を招く一因となっていました。また、小口径シールドトンネル工事では、狭隘な坑内空間での移動や測量作業が、作業員に大きな身体的負担を強いていました。自動測量機(自動追尾TS)を使用する場合でも、別の既知点へプリズムを移設する際は人による作業が必要となります。これらの課題を解決するため、4足歩行ロボットによるプリズムの自動据付を可能とする測量システム「わんワン測量」を開発しました。
なお、本システムは、当社および奥村組の2社を中心に共同で特許を出願中です。
図1 「わんワン測量」全体イメージ図
■「わんワン測量」システムの概要
本システムは、シールド工事における掘進管理の坑内測量に4足歩行ロボットとロボットアームを活用して、既知点へのプリズム据付作業を自動化するものです。
測量開始後、ロボットは坑内を自律的に移動し、指定された既知点においてプリズムを自動設置します。これにより、坑内移動やプリズム据付作業の無人化を実現します。
図2 「わんワン測量」のシステム概要
- 14足歩行ロボットについて
- 本システムで採用した4足歩行ロボットは、トンネルの線形や軌条設備※2に依存せず、足場上を柔軟に移動することが可能です。遠隔操作による自動発進、帰還機能を備えており、測量作業の合間に手動でロボットの配置や退避を必要としません。ロボット上部に搭載した3D-LiDARで取得した点群データを活用し、あらかじめ設定した座標点情報を参照することで、既知点までの移動を自動制御します。
左)写真1 4足歩行ロボット / 右)図3 3次元測量結果のリアルタイム解析状況- 2ロボットアームについて
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4足歩行ロボットは、既知点に到着後、プリズム据付時の転倒防止と安定性確保のため重心を低くした安定姿勢をとり、ロボットアームを展開します。その後、ロボットアームの先端に搭載したカメラで撮影した画像をもとに、AIによりロボットアームを最適に調整することで、既知点の鉛直上にプリズムを据え付けます。
写真2 ロボットアーム
- 3自動充電ステーション(犬小屋)について
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4足歩行ロボットは、測量開始(システム起動)時に後方台車に設置した自動充電ステーション(接触型充電方式)から自動発進し、測量終了後に自動帰還して充電を行います。なお、ステーション付近にロボットが乗り越えるには困難となる段差がある場合には、スロープの設置を必要とします。
右)写真3 待機・充電状態 / 左)写真4 充電ステーションから既知点までの移動
■実証実験の実施
本システムの有効性を確認するため、実際のセグメントを用いた模擬トンネル、および施工中のシールドトンネル工事現場において、ロボットの歩行能力および測量精度の実証試験を行いました。
その結果、軌間※3に敷設した足場板(幅約480mm)上で自律移動が可能であること、そして、急曲線区間(曲線半径35m)でも安定した歩行が可能であることを確認しました。また、プリズム据付精度については、2点間距離計測時の較差(測定値の差)が2㎜程度であることを確認しました。
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右)写真5 模擬トンネル内部 / 左)写真6 足場板上歩行状況(施工中現場)
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右)写真7 プリズム据付状況(施工中現場) / 左)写真8 既知点認識システムUI
■今後の展開
今後は本システムのさらなる精度向上を図るとともに、過年度に開発した「遠隔測量システム」と連携し、トータルステーションの自動視準からプリズム設置、既知点測量までの一連の測量作業を自動化し、無人化や作業効率の向上を進めます。
さらに、GNSS(全地球航法衛星システム)などの測位技術との連携により、トンネル工事に限らず、多様な建設工種における測量作業への応用発展を図ります。
将来的には、測量の用途にとどまらず、現場条件の変化や複雑な作業環境にも柔軟に対応可能なプラットフォームの構築を見据え、ロボットの自律的な判断能力と環境適応力を強化するため、センサー技術とAIを融合した先進的なフィジカルAI技術の高度化を目指します。これらの取り組みにより、建設現場の生産性向上を加速させ、持続可能で安全・安心なインフラ整備に貢献していきます。
- ※1既知点とは、座標や高さなどの情報が既に与えられている基準点
- ※2
軌条設備とは、シールドトンネル工事において、後続台車や荷運搬車が走行するためのレールや枕木、固定治具などで構成される設備
- ※3軌間とは、後続台車が走行する2本のレールの間隔
◆第8回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO 2026)にて出展
本技術は、2026年6月17日(水)から20日(土)に幕張メッセで開催される『第8回 国際建設・測量展(CSPI-EXPO 2026)』の西松建設ブースに出展します。
