免震建物も「CUW工法」が適用可能に
お知らせ2026年03月19日
-隅角部の設計方法を確立し、免震建物への適用のさらなる推進-
当社・株式会社安藤・間(社長:国谷 一彦)・佐藤工業株式会社(社長:平間 宏)・株式会社フジタ(社長:奥村 洋治)・三井住友建設株式会社(社長:柴田 敏雄)(以下、共同開発会社5社)は、仮設材としてのみ使用されていた山留め壁形鋼材を本体建物の地下外壁として利用し、地下外壁工事の省力化、建設コストの低減そしてCO2削減に寄与する「CUW工法」(山留め壁の応力材と後打ち鉄筋コンクリート造壁を構造的に一体化させた壁体工法)について、免震建物にも適用できるようになりました。(一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明第02-13号改1))これにより、免震建物への適用がスムーズとなり、CUW工法の利用をさらに促進します。
図1 CUW工法による地下外壁の例

図2 建築技術性能証明書
■CUW工法の概要
CUW工法は、山留め壁形鋼材(H形鋼またはI形鋼)と地下外壁や擁壁などの後打ち鉄筋コンクリート造壁を、頭付きスタッドなどの接合要素で一体化して壁体として利用する技術です。
本工法では、「重ね壁※1」と「合成壁※2」の2通りの設計方法を選択できます。これにより、建物の構造や立地条件、山留め壁の種類、荷重状況に応じた最適な設計が可能となり、安全で合理的な地下外壁を構築します。そのため、従来工法よりもコンクリート数量や掘削土量を削減でき、地下工事の省力化、建設コストの低減そしてCO2削減に寄与します。また、従来工法と比べ、地下外壁の壁厚を薄くできるため、地下空間の有効利用を実現します。
これまでに、実大規模の構造実験による安全性の検証や、実際に使用されていた山留め壁の掘り起こし調査による耐久性確認も行っています。
- ※1重ね壁:形鋼材と後打ち鉄筋コンクリート造壁それぞれが独立した曲げ抵抗部材とみなせる形式
- ※2合成壁:形鋼材と後打ち鉄筋コンクリート造壁の両者が一体の曲げ抵抗部材とみなせる形式
■今回の工法アップデートの概要
今回、工法をアップデートした主な内容は以下の通りです。
- 1地震時土圧(短期荷重)に対する設計方法の追加
従来、通常の地下外壁に関しては、長期荷重に対する設計のみを行い、地震等の短期荷重に対する設計は行わないことが一般的でした。しかし、近年は地震時におけるひび割れ等の損傷制御の観点から、規模の大きい建物や地震時に液状化の可能性がある層が近接している地下外壁、また免震ピットの地下外壁などでは、地震時水平力に対する設計が求められます。そこで、構造実験結果を見直し、短期荷重に対する構造性能を確認し、設計指針に短期荷重に対する設計方法を追加しました。 - 2免震ピットの地下外壁(立上り壁)と基礎スラブの接合部分(隅角部)に関する設計方法の追加
CUW工法を免震建物に適用する際、免震ピットの立上り壁に作用する側圧※3によって生じる断面力に対して、構造安全性を確保できる隅角部が必要です。しかし、これまで立上り壁と隅角部に関する具体的な設計方法が明示されていませんでした。そこで、構造実験を行い、立上り壁に作用した側圧が隅角部に及ぼす構造的な影響を確認し、立上り壁と隅角部の設計方法を確立し、設計指針に追加しました。
図3 合成壁を適用した立上り壁の概要

写真1 立上り壁の構造実験状況
- ※3
側圧:地下外壁に常時作用する地盤や地下水による圧力、地震時に周囲の地盤と建物の揺れ方の違い
- ※3
- 3
- 山留め壁に生じた施工誤差への対応方法の追加
山留め壁形鋼材が地盤側にずれて施工された場合、従来は溶接金網等を用いて補強を行っていました。そのため、施工位置や範囲の広さによっては溶接金網の設置に手間を要していました。今回の改定では、補強の合理化を目指し、U字型鉄筋による補強方法を考案し、構造実験により耐力を確認した上で施工指針に追加しました。

図4 施工誤差に対する補強方法の例

■期待される効果
今回のアップデートでは隅角部の設計方法を確立したことから、免震建物への適用をさらに推進することが可能になります。
免震ピットの立上り壁にCUW工法(合成壁)を適用した試設計(壁高さ5m)※4では、従来工法と比較して、壁厚および鉄筋量が低減することで躯体数量が削減でき、施工コストを20%、CO2排出量においても20%程度低減できることを確認しました。
- ※4立上り壁のコンクリートと縦筋、接合部材を対象に試算した結果
■今後の展開
本工法は、土圧・水圧が大きく作用する深い地下構造を有する建物や立上り壁を有する免震建物の地下外壁の壁厚や鉄筋量を効果的に低減できる技術です。
今回の改定を踏まえ、共同開発会社5社は、これまで適用に課題を有していた深い地下構造をもつ建物や免震建物に対しても当工法を積極的に提案し、施工への普及、展開を図ってまいります。
