耐震改修
地震に対して安全・安心の建物へ
旧耐震設計(昭和56年以前)の建物に対して、建物用途やお客様のご要望により、人命保護や機能維持、財産保護といった耐震性能目標に沿った改修をご提案いたします。
安全・安心対策メニュー
- 耐震診断・耐震改修
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1981年(S56年)以前の建物は、旧耐震基準で建てられています。
近年の大規模地震では、倒壊、損壊建物の多くが旧耐震基準の建物でした。
今後想定される地震災害に備えて耐震診断・耐震改修を実施しましょう。近年30年において、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震、福島県沖地震等、日本では数々の大地震が発生し、各地の建物に甚大な被害を与えてきました。また、今後30年以内の地震発生率の評価結果によると、関東から九州の広い範囲で強い揺れと高い津波が発生するとされる南海トラフ地震と、首都中枢機能への影響が懸念される首都直下地震のそれぞれが発生する確率は70%と高い数字で予想されています。
つまり、大地震に対しては、「常に想定されるリスク」を備えておくことが不可欠といえます。
西松建設では、お客様に安心して建物を使用していただけるよう、耐震診断をはじめとした各種補強・改修提案を行っております。
耐震診断・耐震改修の手順

耐震改修計画の初期の段階において、個々の条件に合わせた耐震診断を行い、耐震性能を評価する必要があります。
- 予備調査
- 予備調査では、(1)建設年代、(2)構造形式、(3)環境条件、(4)竣工図面の有無、の確認を行います。
- 耐震診断
- 耐震診断には、次のようなものがあります。
一次診断:壁が比較的多い建物の簡易的な診断です。
二次診断:柱・壁などを中心に診断、基本となる診断です。
三次診断:柱・壁に加え、梁の強度を考慮しての詳細診断です。
- 耐震改修計画
- 診断結果をもとに、総合的に耐震性を評価し、必要に応じて、既存建物に最適な補強方法を提案します。
- 耐震改修
- 耐震改修計画をもとに実施設計(詳細設計)を行い、耐震改修工事をします。
耐震改修技術紹介
耐震改修技術には、建物の強度・変形性能を向上させる耐震補強のほかに、建物へ作用する地震の揺れを低減する免震補強、建物自体の揺れを制御する制振補強があります。耐震診断の結果から、最も適した技術をご提案します。
- 耐震補強(在来技術)
- 免震補強
- 地面と建物の間にゴムなどの免震デバイスを設置することで建物に伝わる地震の揺れを低減する技術で、免震レトロフィットといいます。その他、建物内の特定の部屋のみを免震化する床免震の技術もあります。
- 制振補強
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壁面に各種制振ダンパーをセットしたり、屋上等に巨大な水槽や重錘を設置したりして建物の揺れを制御する技術です。その他、天井の揺れを制御するシステムもあります。また、2012年にはBiDフレーム工法を開発しました。これは制振ダンパーシステムを組み込んだ外付け鉄骨フレームと建物とを接続させての補強です。
※緑字は弊社独自の技術です
耐震改修技術一覧
西松建設では、多くの耐震改修技術のメニューから、お客様のご要望にあった技術を選択し、建物を地震から守ります。
耐震補強
対象(形態) | 概要 |
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柱 |
![]() 炭素繊維補強 柱に炭素繊維を貼り付ける補強工法です。炭素繊維は、ゴルフのシャフト、釣り竿、飛行機などに用いられる、柔軟性があって丈夫な素材です。炭素繊維補強は、狭い作業スペースでの施工が可能です。 |
![]() アラミド補強 柱にアラミド繊維を貼り付ける補強工法です。アラミド繊維は、防弾チョッキなどに用いられる丈夫な素材です。炭素繊維と同じような特徴を持ちます。 |
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![]() 鋼板巻き補強 柱に鋼板を巻き付ける補強工法です。炭素繊維補強工法などの繊維による工法に比べ、補強後の断面増加によるせん断耐力の向上や、コンクリートを拘束する効果があります。 |
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![]() RC柱増打ち すでにある柱の上から、新たにコンクリートを打つ補強工法です。他の工法に比べ補強後の断面増加(太さの増加)が大きくなります。補強によって重さが増すため、建物の基礎への重量負担が増加します。 |
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フレーム(壁) |
![]() 鉄骨ブレース補強 柱や梁で囲まれたフレームの中に、×型に鉄骨製のブレース(筋かい)を入れる補強工法です。耐震壁増設に比べて重量が軽く、開口がとれるので採光面で有利な工法です。 |
![]() RC耐震壁増設(袖壁増設) 開口部にコンクリートでできた耐震壁を新設する補強工法です。1枚当りの負担耐力及び剛性が大きいので、補強箇所が少なくできるという特長があります。ただし、補強によって重さが増すため、建物の基礎への負担が増加します。 |
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![]() 構造スリット 短柱のせん断破壊(危険な破壊)を防止するために、柱と壁の縁を切る補強工法です。鉄骨や壁といった構造体を増設しないため、耐力の向上は望めませんが、じん性(ねばり強さ)の向上に効果があります。 |
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外部(外付け) |
![]() 外付け鉄骨ブレース補強 柱や梁のフレームの側面に、×型に鉄骨製のブレース(筋かい)を配置する補強工法です。室内や窓などへの干渉がほとんど無いため、建物を使用しながら工事を行う”居ながら施工”が可能です。 |
![]() 外付けRCフレーム補強 既存フレーム(バルコニーや外廊下の場合もある)の外側にRCフレームを構築する補強工法です。室内に干渉する事がほとんど無いため、建物を使用しながら工事を行う“居ながら施工”が可能です。 |
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天井 |
![]() 耐震クリップ工法 既存の天井下地材のクリップ部分に耐震クリップをワンタッチではめ込むことで、天井の落下防止を図ります。従来の天井材の耐震化には、大きなコストが必要でしたが、耐震クリップ工法は、これまでの天井施工方法と変わらずに耐震クリップを取り付けるだけで、耐震性が向上しますので、コストアップも少なく、施工にも影響を与えません。 |
免震
対象(形態) | 概要 |
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基礎・中間階 |
![]() 免震構法(免震レトロフィット) 「ダンパー」+「標準積層ゴム」、「高減衰積層ゴム」、「鉛入り積層ゴム」などの免震デバイスを用いることで、地震による建物の揺れを1/3~1/5に低減することが可能です。 |
床 |
![]() 床免震構法 建物内のある特定の部屋(空間)のみを免震化します。 |
制振
対象(形態) | 概要 |
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ブレース・壁 |
![]() 制振構法 建物各階(または一部の階)に、オイルなどの作用で伸び縮みを緩やかにするダンパーを設置し揺れを制御する技術です。風や地震による建物の揺れを低減します。 |
建物全体 |
![]() BiDフレーム工法 外付鉄骨フレームの柱に制振ダンパーシステムを組み込んでいるため、採光を遮らず、開放感や美観を阻害しない形式の制振補強工法です。 |
施工事例
建物再生の施工事例をご紹介しています。生まれ変わった建物をご覧ください。スクラップ&ビルドという従来の考え方を大きく変える、建物再生のかたちです。
FAQ
環境への配慮
最近、建材(壁・床)や家具から発生するVOC(ホルムアルデヒド等)により、健康を害する人が増えています。これは、建物の質がよくなるに伴い、気密性が向上し、窓を閉めた状態では換気がほとんど行われず、室内のVOC濃度が高くなったためです。以前の住宅では、窓を閉めていても、隙間が多かったので、必要な換気量が確保されていました。また、冷暖房の普及により、窓を閉めて生活することが多くなりました。このため、人間に必要な新鮮な空気を供給し、ホルムアルデヒドやVOC等の排出を強制的に行うため、24時間換気が必要になりました。[対象用途:学校・マンション]
一般的には30日程度は水をやらなくても大丈夫ですが、特に乾燥の激しい場所や季節によっては、1ヶ月に一度程度散水が必要です。[対象用途:学校・マンション・オフィス]
異常気象により降雨が1ヶ月以上ないような場合での散水と、年に1~2度の施肥等が必要です。[対象用途:学校・マンション・オフィス]
一般的に10~6月頃まで施工が可能で、特に3~4月が最適です。[対象用途:学校・マンション・オフィス]
ネオセダム工法は、芝による屋上緑化工法に比べ、乾燥に強く散水等の手間が少なくすみます。また、土の量が少なくても成長するため建物への負担も少なくなります。[対象用途:学校・マンション・オフィス]
安全・安心の確保
マグニチュードとは、地震の規模を示す値であり、震度とはある地点における地震の揺れの大きさを示します。よって、いくらマグニチュードが大きな地震でも、その地震が遠くで起こったものであれば、震度は小さなものになり、マグニチュードが小さくても、その地震を震源の近くで感じれば、震度は大きくなります。[対象用途:学校・マンション・オフィス]

過去の地震被害を教訓に耐震基準は変遷を遂げてきましたが、旧耐震基準では中地震を対象とした設計が行われ、これに対して新耐震基準では大地震まで対象とした設計が行われるようになりました。上記の表は、耐震性能と震度階の関係を概念的に表現したものです。[対象用途:学校・マンション・オフィス]
上記の表は、学校施設及び一般建物がどの程度まで地震被害を抑えるべきかを概略的に示したものです。特に学校施設については、地域避難指定場所となるケースもあるため、一般建物よりも高い耐震性能が要求されます。[対象用途:学校・マンション・オフィス]
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構造設計部
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