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ポーラスレジンサンド(PRS)の建設材料技術性能証明を取得

お知らせ2022年09月01日

― PRSを用いた目地充填工法 ―

 当社が参画している鉄筋挿入型ひび割れ制御工法協会※1内に設立したPRS工法研究会※2は,ポーラスレジンサンド(Porous Resin Sand,以下,PRSと称す。図1・表1参照)を用いた目地充填工法(以下,本工法)について,2022年5月16日付けで,一般財団法人日本建築総合試験所の建設材料技術性能証明※3(第22-01号)を取得しましたのでお知らせいたします。

 本工法は,RC・SRC 造建物のコンクリート躯体の目地充填工法で,2016年に開発され,適用実績は15件(2022年7月現在)です。この度,目地充填材であるPRSの性能(①コンクリートとの接着性,②目地露出面の陥没抵抗性,③ひび割れ分散性)について検証し,本工法を採用することで,コンクリートと充填材の接着界面に亀裂は生じず,仕上げ面の亀裂,しわ,窪みを生じさせないことを証明しました。そして,本工法の性能について第三者評価機関の審査を受け,建設材料技術性能証明を取得しました。

■性能証明内容
建設材料技術性能証明:ポーラスレジンサンド(PRS GBRC 材料証明 22-01号
評価概要報告書に示される「ポーラスレジンサンド(PRS)を用いた目地充填工法 施工マニュアル」に従って,コンクリート面の目地内に施工されたポーラスレジンサンド(PRS)は,以下の性能を有します。

(1)コンクリートとの接着性
PRSとコンクリートの接着力(直接引張試験)は1N/mm2以上。
(2)目地露出面の陥没抵抗性
PRSの目地露出面の窪み変形は0.1mm以下。
(3)ひび割れ分散性
PRSは目地幅の変化が0.4mmまではひび割れ分散性を有する。

■開発背景
 建物のクロス貼り等の仕上げ層に亀裂等の不具合が発生することは,美観上および耐久性上の問題に発展することがあり,建物使用者のみならず,設計者や施工者においても最も防止したい現象の一つです。RC・SRC 造建物のコンクリート躯体にひび割れ誘発目地を設け,クロス直貼りや塗装による仕上げ仕様とする場合,従来の代表的な目地充填材では,意匠上の不具合が生じる可能性が高くなるため,積極的に採用されてこなかった現状があります。
 具体的な不具合として,目地充填材にモルタルを採用した場合は,コンクリートとモルタルの接着界面に亀裂が生じ,仕上げ表面にその亀裂が露見する。一方,伸縮性を重視してシーリングを充填した場合は,体積減少によって躯体表面より凹みが進行してクロス表面にしわが寄ることや,指で押さえると窪む等の事象が発生します。したがって,目地を充填した部位の仕上げ表面の亀裂,しわ,窪みを防止するためには,目地形状の変化に対し,一定のひび割れ分散性,圧縮強度,体積減少が少ない材料で目地内を充填することが必要となってきます(図2)。
 そこで本工法では,珪砂とファイバー樹脂を混合して製造したPRSが,多孔質構造(ポーラス機構)を形成することで,一定の接着性,陥没抵抗性,ひび割れ分散性,圧縮強度を有することに着目して,目地充填材として採用しました。

■PRS目地充填工法
〇概要
 本工法は,RC・SRC 造建物のコンクリート躯体のひび割れ誘発目地において,珪砂とファイバー樹脂を混合して製造したPRSを目地内に充填することによって,目地形状の変形にあわせ,PRSの内部に加わる圧縮力や引張力を吸収することで,直貼りクロス仕上げ面の亀裂を防止することを可能とする工法です。
 なお,本工法はコンクリート構造物あるいは部材コンクリート面の目地に適用され,内装制限が適用される壁又は天井部分に目地が露出する場合で,室内に面する目地部分の見付面積は,各面の面積の1/10以内に限られます(ただし,床面より1.2m以上)。

〇技術の特徴
・目地材のひび割れ分散性により,1本のひび割れ幅を小さくし,直貼りクロス仕上げ面に亀裂,しわ,窪みの発生を防止(写真1)する。
・使用材料がすべてプレパック材のため,施工時の材料計量が不要となり,使用材料の混合作業が容易,かつ正確に実施が可能である。
・目地内に収縮ひび割れ(写真2)を誘導する鉄筋挿入型ひび割れ制御工法(CCB工法)と併用することによって,より確実に直貼りクロス仕上げ面の変状を防止する。

〇使用材料(写真3)
・PRS樹脂  エポキシ系樹脂【主剤(繊維入り):硬化剤=3:1】
・プライマー エポキシ系樹脂【主剤:硬化剤=2:1】
・珪砂    リバースサンドNo.5(1000℃で焼成済)
 *珪砂・主剤・硬化剤はプレパック済(AOIトーマス㈱製)

〇施工状況(写真4~6)

■今後の展開
 CCB工法協会では,PRS目地充填工法を適用する作業所に,本工法を十分理解していると協会が認定したCCB工法施工管理技術者による施工指導を義務付けています。CCB工法施工管理技術者の称号は,本工法協会が実施する講習会を受講(5年毎に更新)し,さらに試験によって相応レベルの工法の知識・技術を保有していると認定された者に与えられる。本工法を適用する作業所においては,施工管理者を選任し,本工法を十分理解して施工管理を行うこととなります。
 この度,第三者評価機関による材料証明が取得できたことで,コンクリート躯体表面に設けた目地の充填材による不具合防止技術の信頼度も高まり,さらなるPRS目地充填工法の実物件への適用が期待され,施工管理技術者の育成も含めた本工法の普及に努めてまいります。

※1 鉄筋挿入型ひび割れ制御工法協会
http://ccb-koho.com/
鉄筋挿入型ひび割れ制御工法協会(略称:CCB工法協会 会長:松井亮夫 ㈱淺沼組本社技術研究所)は,CCB工法の普及,技術の向上ならびにその健全なる発展を図ることを目的として,2012年4月1日に設立(2022年7月現在,正会員17社,施工実績266件)。

※2 PRS工法研究会
CCB工法協会内に設置された研究会で,2022年7月現在,正会員14社が参加(代表会社:㈱淺沼組)。
㈱淺沼組,㈱熊谷組,西松建設㈱,㈱NIPPO,飛島建設㈱,大日本土木㈱,㈱長谷工コーポレーション,東急建設㈱,五洋建設㈱ ,三井住友建設㈱,共立建設㈱,青木あすなろ建設㈱,松井建設㈱,奥村組土木興業㈱

※3 建設材料技術性能証明
(一財)日本建築総合試験所HP/建設材料技術性能証明
https://www.gbrc.or.jp/building_confirm/kentikuzairyo_shomei/