CO2を固定化した解体ガラ微粉末や再生骨材を用いた
環境配慮型コンクリートを二次製品へ適用
お知らせ2025年04月21日
- CO2排出量を99.5%削減 -
当社とアサヒ飲料株式会社(東京都墨田区、社長:米女太一)は共同で、北辻政文教授(宮城大学)とともに、CO2を吸収・固定化したコンクリート解体ガラ微粉末や再生粗骨材を使用した環境配慮型コンクリートを開発し、コンクリート二次製品に適用しました。本製品は、再生材料の使用率が単位体積当たり約60%、1m3あたりのCO2排出量は、通常の製品と比べ、99.5%削減(当社試算)となります。
■背景
コンクリート構造物の解体などで発生した廃コンクリート塊(ガラ)は、破砕し粒度調整して再生砕石などに利用されています。一方で、解体ガラを破砕・粉砕処理して得る再生骨材やコンクリート微粉末は、建設リサイクル材料として有用な資源であるものの、品質の安定した天然材料に比べて、未だ積極的な利用が進まず、今後の活用促進が課題となっています。
■概要
当社は、アサヒ飲料株式会社の「CO2を食べる自販機」にて、大気中のCO2を吸収した特殊材をコンクリートに練り混ぜることによって、CO2排出量がマイナスとなるカーボンネガティブなコンクリートを実現しています。(※1)
この技術を活用し、リサイクル材料の研究に取り組まれている北辻教授とともに、解体ガラから製造した再生材料(微粉末・粗骨材)のコンクリートへの活用に取り組みました。
今回、解体ガラから得られたコンクリート微粉末にCO2を吸収・固定化させて付加価値を高めた微粉末と再生粗骨材を利用した環境配慮型コンクリートを開発しました(図―1)。本コンクリートは、製鉄生産の副産物である高炉スラグ微粉末や自動販売機の内部で副産物カルシウムにCO2を吸収・固定化した特殊材(※2)を使用しています。そのため、産業副産物も含む再生材料(写真―1)の使用率が単位体積当たり約60%と極めて多く、コンクリート1m3あたりのCO2排出量は、1.4kg-CO2と通常の製品と比べ、99.5%削減(当社試算)となります(図-2)。
開発した環境配慮型コンクリートは、コンクリート製品工場にて落ちふた式U形側溝(写真-2)へ使用可能であることを確認しました。また、本製品はCO2排出量が極めて低いため、北辻教授が岩手県岩泉町や小本浜漁業協同組合らとともに取り組んでいる、海中の藻場再生を目的とした「藻場コンクリートブロック」(縦横90cm、高さ70cm、重さ約1トン)(写真-3)にも試験的に採用され、将来的なブルーカーボンの創出も期待されています。
■今後の展開
今回の取り組みは、これまで利用が十分に進んでいない解体ガラ再生材料(微粉末・粗骨材)の利用促進にも期待されます。当社は、持続可能なカーボンニュートラル社会の実現に向けて、環境に優しいコンクリート材料の開発を続けてまいります。
図―1 CO2を吸収した材料を利用した環境配慮型コンクリート
写真―1 コンクリート材料として活用した再生材料(産業副産物を含む)
図―2 CO2排出量の比較
写真―2 製造したコンクリート二次製品例(U形側溝・蓋)
写真―3 試験採用された藻場コンクリートブロック
(縦横90cm、高さ70cm、重さ約1トン)
■補足説明
- ※1アサヒ飲料株式会社と協業し、カーボンネガティブコンクリートを開発
URL:https://www.nishimatsu.co.jp/news/2024/post_111.html - ※2アサヒ飲料株式会社:国内初、大気中のCO2を吸収する自動販売機を活用したCO2の資源循環モデルの実証実験を6月から開始吸収したCO2は肥料やコンクリートなどの工業原料に活用
URL:https://www.asahiinryo.co.jp/company/newsrelease/2023/pick_0509.html - ※3
CO2排出量の算出方法:LCAの基本式(各材料および蒸気養生時のエネルギーを使用)
CO2排出量 e:CO2排出原単位 , x:数量(t、m3、kg等)