Project 11

渋滞ワーストの返上へ。

東名高速道路 大和トンネル拡幅工事 / 東名高速道路 大和地区付加車線工事

背景

大和トンネルを先頭に〇〇kmの渋滞…。
年末年始やGWのニュースで一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
大和トンネルがある横浜町田~海老名IC区間は、
全国渋滞ワーストランキングで1位(2016年 国土交通省発表)という国内屈指の渋滞ポイント。
この渋滞の解消をめざし、関東土木支社大和トンネル出張所は、片側3車線の走行を確保したままでトンネルを拡幅、また、大和付加車線出張所はトンネルの前後約4~5kmに1車線を付加して4車線化する難工事に挑んでいます。

工事概要
関東土木支社
大和トンネル出張所
工事場所

神奈川県大和市上草柳

工事延長

L=280m

発注者

中日本高速道路株式会社 東京支社

大和付加車線出張所
工事名

東名高速道路
大和地区付加車線工事

工事場所

(自)神奈川県横浜市緑区長津田町 地先
(至)神奈川県綾瀬市大上 地先

工事延長

L=7,553m

発注者

中日本高速道路株式会社 東京支社

“全国屈指の渋滞ポイント”

東名高速道路は東京インターチェンジ(IC、東京都世田谷区)から神奈川県・静岡県を経由し、小牧IC(愛知県小牧市)へ至る約346kmの高速道路。このうち横浜町田~海老名ジャンクション(JCT)間は交通量が非常に多く、1日当たりの平均交通量は13万台に上る。特に大和トンネル付近(神奈川県大和市)では渋滞が慢性化しています。交通事故も発生しており、同区間での渋滞対策が喫緊の課題となっています。
当社が施工を手掛ける「東名高速道路大和トンネル拡幅工事」は中日本高速道路が取り組む渋滞対策の一つです。大和トンネル付近は下りから上りに切り替わる谷間の線形となっており、トンネル付近でのスピードダウンが渋滞や交通事故の要因となっています。
工事では延長280メートルの大和トンネルに上下線それぞれ3.8mの付加車線を設けて片側車線を17.5mに拡幅することで交通容量を確保し、渋滞の解消を図る狙いです。あわせて、トンネルの前後約4~5kmに1車線を付加して4車線化する付加車線工事も当社が施工しています。

谷川潤所長

現場を統括する谷川潤所長によると、「これだけの交通量があるトンネルで、片側3車線の走行を確保したまま拡幅する工事は過去にもあまり例がない」といいます。
また、工事現場は民家と近接しており、「近隣の民家と、トンネルを走行する車両の双方に配慮した施工が重要だ」と工事の難しさを指摘します。

細心の注意を払い、すべての安全を確保

防護柵

工事の難易度を上げているのが1日13万台という交通量の多さです。施工に当たっては車線付近で作業する作業員の安全対策と、作業が車両の走行を妨げないようにするための対策の両方が求められました。
作業員の安全対策では、側壁寄りの車線と側壁の間に防護柵の中でも最も強度の高いものを設置し、作業員の安全を確保。時速120kmで走行する車が柵に対して30度の角度でぶつかっても柵の内部の安全が保たれる強度設計となっています。
防護柵の内部には工事中にトンネル全体の天井を持ち上げている仮受け支柱もあり、防護柵には仮受け支柱を守る役割もあります。

側壁撤去の様子

また、走行する車両への対策では既存側壁の解体方法を工夫しました。通常、ワイヤーソーを使ったコンクリート構造物の解体では、ワイヤーの滑りを良くし、さらにワイヤーの摩耗を防ぐ目的で刃に水をかけながら切断します。しかし今回の工事で水を使用すると、トンネルを走行する車にセメント分が混じった切削水がかかってしまう懸念がありました。
そこで今回の解体では水を使わず、ワイヤーソーでコンクリートを切断すると同時に吸引器を使って切断に伴う粉じんを回収。粉じんなどで車両の視界が悪くなったり、車体が汚れたりすることを防ぎました。
切り出した側壁は1ピース当たり約4トンの重さ。1日4ピースの速度で約4カ月かけて解体を完了させました。

谷川所長は「引き続きドライバーや近隣に迷惑をかけないよう配慮しながら、安全第一で完成を迎えたい」と意気込みを語ります。2020年の東京オリンピック・パラリンピック前の渋滞解消をめざし、西松の「現場力」がここにも発揮されています。

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